企業は事業継続のための計画(BCP)と投資を積極化せよ
ちなみに、千代田区、中央区への変電所からの送電は、変電所から各企業に接続されるものではなく、「変電所→企業A→企業B→企業C……」と、順次、企業間を渡っていくループ方式が採られている。したがって、このループの途中の1社で、電気設備上の重大なトラブルが発生すると、ドミノ倒し的に送電が失われるリスクがある。
根本から電力供給が途絶えたら、という前提に立ち、すべての企業が対策に動かざるをえない。
考えられる企業の対策は、BCPに基づき、直ちに自家発電を稼働させることだろう。しかし、その場合、第2の論点に直面せざるをえない。自家発電装置が空冷式か、それとも水冷式か、という問題である。
空冷式であれば、何とかしのげるが、水冷式の場合、今度は水の供給が行われることが前提となる。
東京都内の同地域への水道供給ルートは1系統に限られている。その系統の供給インフラが機能不全となれば、水冷式の自家発電装置を有している企業は、消防隊や自衛隊による水供給が必死で行われている福島原発と同様、危機的な事態に陥りかねない。
事業継続投資への障害
つまり、精緻なBCPを策定し、その体制を整備しても、いざというときには実効性が失われかねない。ライフラインやインフラ面の前提を考えると、そう言わざるをえない部分がある。