ヒト致死率53%「鳥インフル」から身を守れるのか パンデミック現実味も「備蓄ワクチン」がない
鳥インフルエンザ(高病原性鳥インフルエンザ)の勢いが止まらない。感染力・致死率ともに高く、感染が判明した国内の養鶏場ではすべて殺処分となる。その数は過去最高の1400万羽に近づき、全国の採卵鶏の1割を超えた。
結果、「物価の優等生」と言われてきた鶏卵が42年ぶりの高水準まで爆上がりし、日本の食卓に混乱を引き起こしている。外食チェーンは卵メニューを続々と中止した。
そんな中、非常に気になるニュースが海外から飛び込んできた。「2月22日、カンボジアで11歳の少女が鳥インフルに感染して死亡、父親も陽性」というのだ。少女は16日に発症し、発熱、せき、喉の痛みなどを訴えていた。
鳥インフルは野鳥や鶏などあくまで「鳥の病気」で、「卵や鶏肉の値上がりは困る」くらいの認識だった人が大半だと思う。だが今、鳥インフルエンザウイルスは世界に蔓延し、人類に限りなく迫っている。
次なるパンデミックがますます現実味を帯びてきてはいないだろうか?
人類に迫る「致死率53%」の脅威
実際、鳥インフルはアシカやミンク、キツネ、クマなどでも確認され、WHOは「ヒトを含む哺乳類への感染報告も増えている」と懸念を表明した。
今回猛威を振るっている鳥インフルのウイルスは「H5N1」と呼ばれる種類で、いわゆるA型インフルエンザの一種だ。実は最初に発生が確認されたのはもう30年以上も前で、以来、野鳥と鶏やアヒルなどの家禽類の間を循環してきたとされる。
初めてヒトへの感染が報告されたのは1997年の香港で、18人が発症し6人が死亡した。その後もヒトへの感染はたびたび報告され、重症化しやすいことが知られている(日本感染症学会)。
潜伏期間はおおよそ2〜8日。初期の症状は季節性インフルエンザによく似ていて、38℃以上の発熱、せきや喉の痛み、筋肉痛、頭痛、鼻水などが見られる。肺炎を合併して急速に悪化し、発症から平均9〜10日目に呼吸不全により死亡することが多い。
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