給与形態にどうも不安が募る会社の典型的な特徴 雇用契約書や給与明細、しっかり確認していますか

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たとえば働き始めてから3年後に未払い分の賃金があると発覚した場合、3年前の分までさかのぼってごっそり取り返すことも可能だ。悪質な会社は給料をちょろまかしていることもある。雇用契約時の労働条件と合致しているか、支払われ方におかしな点はないか必ず確認しよう。

中でもごまかされやすいのはやっぱり残業代。前述したように固定残業代をオーバーした分を払わないケースや、長時間残業の割に極端に低い残業代を支払っているケースは多々ある。自身で働いた時間は記録して残しておき、納得のいく給与となっているかどうか、必ず確認する必要がある。

何が天引きされているか?

給料から天引きされている項目も忘れずチェック。社会保険や税金は当然引かれるものとして、ほかに謎の名目で引かれているものがないか見ておかなければならない。たとえば、弁償金や寮費、制服クリーニング代といった項目で天引き、なんてこともある。事前に合意していない、雇用契約書や労働条件通知書にも書かれていない項目なら当然違法だ。

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そもそも給料から税金や社会保険以外で天引きをするには、賃金控除協定を結ばないといけない。これを結ぶのは、従業員の過半数で組織されている労働組合、もしくは労働組合がないなら従業員の過半数を代表する人。簡単に言えば、従業員のリーダーがOKしない限り、給料から勝手に天引きすることはできないのだ。

この協定を結ばずに勝手に給与から引いている会社はけっこう多い。指摘しても会社がしらばっくれるようであれば、労働基準監督署に相談するといいだろう。

ちなみに給与(賃金)は最低でもひと月に1回は支払われないと労働基準法違反になる。「次に2カ月分払うから、今月の給料は我慢して」なんてことは許されない。また、給与の金額は記録として残るよう、できるだけ口座振込にしたい。

自分が「おかしい」と気づけなければ、問題を表面化させることはできない。まずは世にはびこる悪質な手口を知り、直面したら冷静に対処できるよう日頃から準備しておくことが肝心だ。

小西 秀昭 ライター
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