労働者を食い物にする会社のなんとも悪質な手口 業務委託、シフト制、派遣社員に潜むリスク

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より悪質なケースがある。ウチダさん(仮名)は「バイク1台で起業、1日で2万円以上稼げる」という求人触れ込みに惹かれ、バイク便会社との業務委託契約で配送業を始めた。

朝9時、指定された広場に自前のバイクでやって来たウチダさん。同じようにバイクを走らせてきた仕事仲間が何人かいる。そこで社員から告げられたのは「仕事が来たら順番に振るので、それまで待機していてください」だった。

夕方の5時まで待機するだけの日もあった。仕事をもらえてもせいぜい1件か2件、売り上げは数千円。ガソリン代は自腹だから、ほぼ毎日赤字だ。「契約を解除したい」と社員に申し出ると、「なら違約金5万円を払え。契約書に書いてある」と冷たくあしらわれた。違約金について事前の説明はいっさいなかった。

これは明らかな偽装雇用。拘束時間が決められている時点で立派な直接雇用と判断できる。仕事を待っていた時間も労働時間と判断して、最低賃金以上の賃金を請求できるし、ガソリン代などの諸経費も会社に請求できる。このケースではほかの仕事仲間と一致団結して会社と交渉し、一定の金銭が支払われた。

業務委託は本来、力量的に対等な間柄でなされるべきもの。すべてが労働者にとって不利な契約になっているわけではないが、悪質なものも多いので、先方と条件をしっかり詰めてから契約を結ぶようにしよう。

「シフト制」の盲点

労働日や労働時間を1週間ごとに決める、いわゆる「シフト制」の形態も最近は増えてきた。この手の求人には、「自分に合った働き方」「自由な時間に働ける」といった魅力的な言葉が添えられていることが多いが、十分気をつけたい。

確かに、働く側からすれば働きたい時間に働けるというメリットを感じるだろう。しかし雇う側からすれば、労働条件を曖昧にしたまま人を雇えるわけで、「生かすも殺すも会社次第」の状態を生み出せてしまう。もし希望した時間がいっさい受け入れられず、1週間シフトがゼロになったら無収入だし、逆にすべてのシフトに入れられたら過重労働にもなりかねない。

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