労働者を食い物にする会社のなんとも悪質な手口 業務委託、シフト制、派遣社員に潜むリスク
業務委託は「偽装雇用」にご用心
IT企業に勤めていたイトウさん(仮名)は、ある日社長から「正社員ではなく、業務委託の形で再契約しないか」という提案を受けた。業務委託とは、会社と雇用契約を結ぶのではなく、「この業務を行ってくださいね」と会社から依頼を受けて発生する仕事のことだ。日給や月給ではなく、1つの案件をこなすごとにいくら、といった対価の支払われ方が主流となっている。
社長からの誘い文句としては「成果報酬制だから働けば働くほど儲かる」「時間に縛られず働ける」といったものだった。いい条件だと思い、業務委託契約を結び直したイトウさんだったが……。まず、自由な時間などまったくなかった。始業時間は社員の頃と変わらず、残業時間は倍増。しかも契約上、残業代は出ない。収入は激減した。
このケース、「偽装雇用」と呼ばれる悪質なやり方で、イトウさんは業務委託を受けている立場とはいえない。なぜなら社員の頃と同じ働き方を強いられているからだ。実際の業務内容から、契約は雇用契約であると客観的に判断できる。よって社員の頃と同様の給料は保証されるべきだし、残業代も請求できるわけだ。
業務委託契約なら都合よく人材を使うことができるうえに、社会保険料や残業代などの負担を背負わずにいられる。そう勘違いしている悪質な会社は少なくない。
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