利下げ転換時期が焦点「ダウ平均ズバリ予想」 専門家5人が予想、年末に向け上昇との見方が大勢
同氏は、「政策金利引き上げの影響でアメリカの景気が減速しつつあり、企業業績についても下方修正が続いている。1〜3月期GDP(国内総生産)や1〜3月期決算が発表される4月下旬には、まだ底入れのメドがつかない可能性がある。そのため、4〜6月期GDP、4〜6月期決算が発表される7月下旬まで、景気と企業業績の回復サインを待つ必要がありそうだ」と、7月安値の理由を説明する。
一方、「4月高値、10月安値」と前出4氏と逆の動きを予想するのが智剣・Oskarの大川智宏氏だ。
同氏は「景気後退の深刻化によって、春先以降から株式市場の下落局面に入る。すでにアメリカの株式市場の利益予想は下落傾向にあり、企業業績の見通しも悪化している。だが、その中で株価だけは高値で維持されており、異常なまでの割高な状態にある。来期以降は市場全体が減益に陥る可能性も高い。アメリカの景気の最後の拠り所である雇用が鈍化したタイミングで、この矛盾の是正が一気に発生する」と想定する。
年末高へ銘柄選定を急げ
今後の相場予想を踏まえ、米国株にどのように投資すればよいのか。
大和の壁谷氏は、「年後半の上昇局面に備え、じっくりと銘柄を選びたいところ。遅くとも年前半にはエントリーを済ませておく必要があるだろう。米国株をすでに保有している投資家は、目先の調整局面で慌てて処分するようなことは極力避けたい」と助言する。
東海東京の長田氏は、「FRBの利上げ停止が視野に入るまではバリュー、ディフェンシブ主体がいい。それ以降はハイテクやグロース、シクリカル(景気敏感株)が有効」と説く。
また智剣・Oskarの大川氏も、「今後は景気後退を見越した金利の低下が発生しやすくなる可能性が高い。そういった環境になれば割安株よりも成長株へと資金がシフトしやすくなるため、テック株やナスダック連動のETF(上場投資信託)などは相対的に魅力度が増すだろう」とする。
さらに第一生命経済研究所の藤代宏一・主任エコノミストは、「米債券の利回りが復活しているので、株式一択ではなく債券投資も検討を」と助言する。
専門家には24年以降の市場の行方についても聞いた。
米国株市場について大和の壁谷氏は、「24年以降は本格的に金融が正常化(利下げ)に向かうと予想。金利の低下が株式バリュエーションの拡大を通じて、株価に好影響をもたらす。企業業績も底打ちから反転に向かい、業績相場の側面も強まってくる。また、24年は大統領選挙の年に当たることから、政策的なリップサービスが投資家心理を改善することも考えられる」という。
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