被災地いわき市では東邦銀行、いわき信用組合などが窓口業務を順次再開へ【震災関連速報】
東日本大震災の発生から2週間が経過し、被災地の金融機関も本格的な活動を開始し始めた。
福島県いわき市では、東邦銀行など地元地銀が損傷の激しい店舗を除いて、営業窓口を開いている。また、金融庁が3月11日に発表した「災害に関する金融上の措置」を受け、預金通帳、印鑑などを紛失した顧客には、本人確認さえできれば、預金引き出しに応ずるといった内容をわかりやすく説明したペーパーを用意、窓口業務を行っている営業店一覧を閉鎖営業店の玄関口に張り出すなど、来店客に混乱が生じないようにしている。損傷の少ない営業店は土曜、日曜日も窓口業務を行っている。
そうした中で、来店客は日を追うに伴って増えている。たとえば、いわき信用組合の平支店では、先週末25日には300名ほどの来店客があった。このうち、預金引き出しに訪れたのは150名程度で、残りの150名はローン返済などの相談に訪れた顧客だったという。
同信用組合でも、四倉町など甚大な津波被害を受けた海辺地域の営業店は閉鎖しているが、それらの閉鎖店の顧客が平支店に訪れることを想定し、閉鎖店の職員を1人ずつ同店に配置した22名体制で顧客対応している。もちろん、預金引き出しの際、顔見知りの顧客であれば本人確認がしやすくなることも念頭に入れた布陣だ。
「私たちは、自店の顧客の顔はすべて知っている。そのメリットを生かして、本人確認手段がなくなって困っている顧客にも迅速に対応している」−−桝井伸幸・同支店長は、この局面だからこそ地域金融機関ならではの特性を生かせることを強調した。
ちなみに、同支店長も実家が全壊するなどの被害を受けたという。出勤している職員たちも、多かれ少なかれ、被災している。しかし、同支店長は「まずは顧客対応が重要。自分のことは後回し」と業務継続に向かっている。
一方、金融庁では、今後、被災者の資金需要、相談が本格的に拡大する見通しであるため、被災地の金融機関に対し、災害特別措置のいっそうの徹底を図る考えだ。しかし、甚大な被害を受け、避難所で生活する住民が半ば外部から孤立化しているような地域もあるだけに、金融機関が移動車を活用して働きかけるなど、一段の積極的な対応が求められよう。
また、前述のように地元金融機関の職員の大半が被災者であるため、その負担を軽減するためにも、相談業務などについては首都圏など他地域の金融機関関係者による臨時相談センターなどの設置も考える必要があるだろう。
(浪川 攻 =東洋経済オンライン)
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