東洋エンジニアリングで下方修正が続くワケ

海外案件で損失が止まらない

無理な応札を進めたのには、東洋エンジならではの事情がある。実は競合の日揮と千代田化工建設は近年、受注額5000億円級のメガLNG(液化天然ガス)プロジェクトをオイルメジャーから次々に受注している。原油安やLNGの供給過剰で先行きの不透明感が出てきているとはいえ、受注残高の6~8割を占めて、業績の牽引車となっている。LNGプラント市場は日揮、千代田化工建設の日本勢とKBR、ベクテルの米国勢、フランスのテクニップの5社が事実上寡占しており、過度な入札競争とは距離を置いている。

一方で、東洋エンジはLNGプラントの心臓部である「中核装置」(天然ガスをマイナス162度で液化・圧縮する装置)を手掛けられず、折からのLNGブームに乗れなかった。そのため、国営会社向けの石油化学や肥料プラントの中小案件を手掛けてきたが、こうした非LNG案件は、欧州勢に加え、近年はサムスンエンジニアリングなどの韓国勢や中国勢も勢いを増している。また、新興国では、自国のエンジ会社に発注する保護主義的な傾向も強く、過度な入札競争に陥りやすい。

コスト削減の狙いも裏目に

勝ち残るためには調達コストか人件費を抑制するしかない。このため、東洋エンジは、技術者の約4分の3を海外拠点に配する「Global TOYO」体制を構築し、人件費の安いインド、中国、韓国、マレーシアなどの海外拠点にEPC業務を移管してきた。

カルティム社のプロジェクトでは、設計業務のコストを抑制するために韓国拠点の「Toyo-Korea」を参画させたほか、2012年2月には同プロジェクトのパートナーであったインドネシアのエンジ大手「IKPT(イーカーペーテー)」を買収した。しかし、ただでさえ無理をした受注見積もりに加え、3社での業務連携に遅れが発生。試運転時に発生した機器不具合の手直しや、工事業者・機器ベンダーからの求償対応などが発生し、2014年末に完工予定だった同案件が完工に漕ぎつけたのは今年3月だった。

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カーリング人気萌芽の時代から、平昌五輪での銅メダル獲得まで戦い抜いてきた著者。リーダーとして代表チームを率いつつ、人生の一部としてカーリングを楽しめるにまで至った軌跡や、ママさんカーラーとして子育てで得た学びなどを語る。