東洋エンジニアリングで下方修正が続くワケ 海外案件で損失が止まらない
プラントエンジニアリング御三家の一角、東洋エンジニアリングが揺れに揺れている。同社は3月25日、ブラジルの現地企業と50%出資する海洋石油開発の案件で損失が発生すると発表した。ブラジルのペトロブラスの汚職問題の余波で、FPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)の洋上原油処理施設(トップサイド)の設計・調達・建設(EPC)で人件費などのコストが上がっているためだ。
損失額などの詳細は米州責任者である役員を派遣して精査中だが、現時点でパートナー分の負担も含めて約170億円の損失が発生するとしている。さらに、海洋構造物建造のためのヤードにかかる固定資産の減損損失で最大180億円を計上する見込みだ。最終損益を収支トントンとしていた従来の業績予想から、2004年3月期以来11期ぶりの最終赤字に転落することが確実となった。また、予定していた期末配当4円も見送るとしている。
実は、東洋エンジは3期連続しての業績下方修正に至った経営責任を取り、4月1日付けで社長交代をしたばかり。しかも、2015年3月期は昨年11月と今年2月に2回の大幅な業績の下方修正を行っており、わずか半年弱の間で3度の下方修正を行うことになった。背景には何があるのか。
無理な応札が海外で損失生む
ブラジル事業のほかに、2015年3月期に計上する損失はカナダのオイルサンドや米国の石油化学プロジェクトなどいずれも海外の関連子会社が手掛けた案件だ。中でも損失額が大きかったのはインドネシアの国営肥料会社「カルティム」向けの肥料プラントプロジェクトだ。
同案件は2011年6月に総額500億円で受注したが、工事進行に遅れが出て2014年3月期と2015年3月期に2期連続で損失を出した。EPC事業の粗利率は通常7~8%が目安だが、リーマンショック後に受注が伸び悩んでいた時期の大型案件であり、入札競争に勝つためにそれよりも数ポイント粗利率を落とした予算で受注を勝ち取っていた。
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