将来我が子を「破産」させないための投資の教え方 投資するうえで大事な2つの考え方とは

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投資はそれぞれの金融商品を、安いときに買って高いときに売ると儲かります。しかし、そのタイミングはなかなかわかりません。投資のプロでも見極めるのは難しいのです。しかも「タイミングを見て売買をして短期的に儲ける」というのを続けられる人はいません。そういう人は1日中パソコンの画面を見て過ごすことになり、夜も安心して眠れなくなります。

株などの値動きに自分の心を支配される人生を過ごしたいですか? そうではないですよね。

長期的な視野で、社会的な意義を忘れず投資する

ただ、効果的な投資の方法といわれているものがあります。それは、決まった額を決まったタイミングで買う「ドル・コスト平均法」というものです。たとえば、ある会社の株を買おうと決めたら、一気にたくさん買うのではなく、「毎月のはじめに1万円ずつ買う」などとするのです。

大事なのは株価を気にせず、決めたタイミングで買うということ。「ある月のはじめはその会社の株価が1000円だったので10株買えた」「またある月のはじめは株価が500円だったので20株買えた」というように、機械的に買っていきます。

投資リターンのグラフ
出所:『僕らの未来が変わる お金と生き方の教室: 君が君らしく生きるために伝えておきたいこと』
『僕らの未来が変わる お金と生き方の教室:君が君らしく生きるために伝えておきたいこと(新時代の教養)』(Gakken)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

たとえば上のグラフのようにA、Bの金融商品があり、商品の値段が変動していくとします。それぞれ毎月1万円を投資していく場合、10カ月後にどちらがお金が増えているでしょうか? 

感覚的にはAのほうがよく見えますが、Bのほうが増えます。Aは安定的に値上がりしているのですが、Bは値下がりして元に戻っただけです。しかし、値が下がったときにはたくさん買うことができるので、元の値に戻ったときにいちばんお金が増えています。

自分の買った株などの金融商品が値下がりすると、「これ以上値が下がるのがこわいから売ろう」という気持ちになりますが、値が下がったときにも買えるかどうかが、投資のポイントでもあるのですね。

値が下がっても売らずに、買い続けるために大切なのは「なくなっても困らないお金で投資をする」ことと「その会社を応援することが社会に役立つと信じる」気持ちです。長期的な視野でコツコツと、お金に心をとらわれず、社会的な意義を忘れずに投資をしていくというのが、心穏やかにお金を増やしていく人の特徴なのです。

池上 彰 ジャーナリスト

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いけがみ あきら / Akira Ikegami

1950年、長野県生まれ。1973年慶應義塾大学卒業後NHK入局。ロッキード事件、日航ジャンボ機墜落事故など取材経験を重ね、後にキャスターも担当。1994~2005年「週刊こどもニュース」でお父さん役を務めた。2005年より、フリージャーナリストとして多方面で活躍中。東京工業大学リベラルアーツセンター教授を経て、現在、東京工業大学特命教授。名城大学教授。2013年、第5回伊丹十三賞受賞。2016年、第64回菊池寛賞受賞(テレビ東京選挙特番チームと共同受賞)。著書に『伝える力』 (PHPビジネス新書)、『おとなの教養』(NHK出版新書)、『そうだったのか!現代史』(集英社文庫)、『世界を動かす巨人たち〈政治家編〉』(集英社新書)など。

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