被災地でねじり鉢巻きの活躍を期待、特殊土木工事の日特建設に全ゼネコンが協力要請【震災関連速報】

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被災地でねじり鉢巻きの活躍を期待、特殊土木工事の日特建設に全ゼネコンが協力要請【震災関連速報】

「大規模な自然災害が起きた時こそ存在意義を発揮しないと」

年間受注高600億円に満たない特殊土木専業の日特建設幹部はねじり鉢巻きで、東日本大震災の復旧・復興工事に臨む決意を示した。年間の土木受注高は、鹿島や清水建設など大手ゼネコン(総合建設会社)の5分の1程度の規模しかない。それでも大手ゼネコンが得意でない専門分野をカバーする業態のため、ほぼ全ゼネコンから「震災需要が発生したら頼む」と、同社に対して全面協力の要請が寄せられている。

日特建設は、道路や電力設備のがけ崩れ修復や緑化、地盤改良といった特殊工事を手掛ける。北海道から沖縄まで全国に約50カ所の拠点があり、設立以来ゼネコンの下請けに徹しながら、数カ月単位の災害復旧や防災の工事を地道に請け負ってきた。大赤字の要因となったマンション開発など建築から完全撤退して以降は利益体質は改善。再建ファンドのフェニックス・キャピタルの経営助言に耳を傾けながら約3年間で財務基盤を立て直し、2011年3月期は復配までこぎつけた。

元来の強みは、土木技術で多くの技術系社員(700名強)が災害支援に必要な複数の資格を有していることだ。大手ゼネコンと等距離で付き合えるのは、この人材の厚みに裏打ちされた実績があるから。人里離れた山中の道路や、ダム導水管、原子力発電所など危険を伴う修復作業を黙々とこなすなど社会インフラを縁の下で支えてきた。こうした実績が今回の大震災で、国土交通省東北地方整備局が発注する工事を中心に、被災地で大車輪の活躍が期待されるゆえんだ。

震災から18日。この間、同社は、元請けのゼネコンからの緊急要請で道路斜面の崩れを修復する応急措置を実施した。幸い自社の東北エリアの被害は確認されなかった。それでも被災地での陣容が整わないので、東京支店がカバーする態勢を敷いた。技術社員が機材を積んで、東北に向けて緊急車両を走らせた。軽油で動く車両を装備しており、ガソリン不足は同社にとっては無縁。災害時の緊急支援ウハウが豊富なことを物語るエピソードだ。

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