――著書には「やりたくないことにやる気を出す方法」という節がありますね。気分が乗らないときに自分をその気にさせるには、どうすればいいでしょうか?
日常生活にはやりたくないことが溢れています。弁証法的行動療法(DBT)と呼ばれるセラピーでは、「反対行動(オポジットアクション)」というスキルを学びます。それは感情が命じることと反対の行動をとるためのスキルです。マインドフルネスはその重要な要素で、自らの衝動に気づくことができます。それぞれの感情は、何かをしたい、あるいはしたくないという衝動をもたらします。人はしばしば感情に従って行動しますが、それは衝動に駆られてそうするのです。
衝動に注意を払うようにすると、「それに基づいて行動する必要はない」ことがわかってきます。衝動に反する行動をとれるようになるのです。これは些細なことから使えるツールですが、繰り返し使ううちに、より強力なツールになっていきます。
コロナ禍が人々へ与えた心理的影響
――パンデミックが終わったら、あなたのコンテンツはどのように変わると思いますか?
パンデミック後がどうなるかは、まだ想像できません。ロックダウンは人々に多大な心理的影響を及ぼしました。人々は今も強い喪失感を抱えています。家族や友人を失った人もいれば、生活、仕事、経済的な安定、家を失った人もいます。安心して外出できるという感覚も失われたままです。大きな変化が起きました。人々への影響は今後も続くでしょう。
――多くの人にとってセラピーの費用は手が届かないほど高額で、公費負担医療で受けられる治療も限られています。セラピーを希望する人が急増している状況で、この問題をどのようにお考えですか?
わたしの本がヒットした理由の1つは、そこにあります。わたしはすべての人に1対1のセラピーを提供することはできませんが、何かできることはあるはずだと考えました。できるだけ多くの人に基本的な知識を伝えたいと思ったのです。
有名になることやソーシャルメディアを利用すること自体に興味はありません。情報を共有することが目的でした。TikTokの配信は難しかったのですが、3人の子供と仕事を持ちながら続けてこられたのは、フィードバックがあったからです。圧倒されるほどでした。
毎日、多くの人からメッセージが届きます。「本当にありがとうございます。変わることができました」と。現実はすべてが理想的な世界ではないし、わたしはすべての問いに答えられるわけではありません。けれども、少しでも自分にできることをしたいのです。
(出典)The Guardian, 2022, 2, 12 "Dr. Julie Smith: 'Mental health is no different from physical health. No one is immune' " by Ian Tucker
Copyright Guardian News & Media Ltd 2023
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