ネタニヤフ首相は、なぜ選挙に勝てたのか 米国では「チャーチルのようだ」との評価も

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右派政府の形成はイスラエルの外交や国内政策に大きな影響を与える。ネタニヤフ首相はすでにオバマ大統領との関係を壊してしまったし、欧州連合との関係も同様だ。政府が西岸地区の入植を続け、パレスチナとの交渉を拒否すれば、国際社会での影響力の低下、ボイコット運動や制裁につながる。

エジプトやヨルダンとの関係も影響を受け、穏健派のアラブ陣営との協力の望みもくじかれる。一方国内では、リクード党とその右派支持者によって、法制度や報道機関への干渉が勢いを増す可能性が高い。

ネタニヤフ首相もこうしたリスクを理解するがゆえに、ヘルツォグ氏を若きパートナーとして政府に迎え入れるだろう。ヘルツォグ氏は、その前任者らが2009年および2013年に直面したのと同じジレンマに遭遇するはずだ。

政府に加わることのメリット、デメリットは周知のことだ。ただ、そうすることが、政府の政策をうまく加減し大惨事のリスクを減らす機会を作る意味で責任のある行動なのだ。要職に就くことで、若きパートナーは次の選挙に向け立場を強めることができる。

若きパートナーは往々にしてお飾りに

イスラエルの街並み(写真:Okssi68 / Imasia)

だが、この若きパートナーは重要課題に対して実質的な影響力を持てず、体制のお飾りになってしまうことが往々にしてある。かといって、ヘルツォグ氏には自分で自由に決断を下すこともできない。党員の中には、内閣の要職やその他権力の象徴を欲する者もいるが、むしろ外にとどまり闘い続けることを希望する者のほうが多い。

物議を醸したイランに関するスピーチを米議会で行うためにネタニヤフ首相がワシントンDCを訪問した際、彼は無関心な世界に対して、悪しき力に関する警告を発する孤独かつ勇気ある声であるとして、米国人支持者から「チャーチルのようだ」と形容されている。今こそネタニヤフ首相が現在の強い立場を利用し、自国を目下の苦境およびマヒ状態から脱却させるために必要な英断を下すことで、より深い意味でチャーチルらしくなることを願わずにはいられない。

週刊東洋経済2015年4月11日号

イタマール・ラビノヴィッチ 元駐米イスラエル大使

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Israel Institute所長。テルアビブ大学、米ニューヨーク大学、米ブルッキングス研究所のシニア研究員。

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