奈良県知事選で大ピンチ、高市氏に吹く逆風の正体 維新に敗北なら初の女性首相候補「失格」の声も

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一方、こうした自民分裂を「絶好のチャンス」として県政奪取を狙うのが山下氏。朝日新聞記者から弁護士を経て、2006年に生駒市長となり、3期目途中に辞職して2015年の知事選に立候補したが、約6万票差で荒井氏に敗れた経緯がある。

ただ奈良県では、昨夏参院選での各党の選挙区・比例の得票数で、維新が自民に肩を並べる支持を集めた。このため、今回自民分裂による選挙となれば、「維新県政誕生の可能性は極めて高い」(選挙アナリスト)との見方が広がる。

すでに、選挙専門の一部メディアが1月末に実施した情勢調査でも、山下氏が平木、荒井氏両氏を上回る支持を獲得、具体的には山下氏は維新支持層の約6割や無党派層の一部から支持を得ており、「なお支持拡大の要素が多い」と分析している。

現実味を増す、維新・山下氏の「漁夫の利」

そもそも、奈良県で有権者が多い自治体は、大阪に近い奈良市やベッドタウンの生駒市。だからこそ維新は今回知事選に、吉村洋文・大阪府知事ら最高幹部を動員する構えで、すでに現地の自民陣営は防戦一方となりつつある。

そうした中、2日で知事選告示まで残り3週間となる。告示までに公認争いに決着がつかなければ、「山下氏が漁夫の利で当選し、維新にとって念願の大阪以外での知事誕生が現実味を増すばかり」(選挙アナリスト)だ。

こうした状況に、高市氏は2月27日、自身のツイッターで、県連が推薦した候補者について「なぜか自民党本部推薦はいまだ出ません」と投稿。続いて「『自民党分裂』の旨を報道するメディアの記事に、あまりにも誤情報が多い」などと、計18回も投稿を繰り返し、党本部への不満と苛立ちを露わにした。

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