人気で切符入手難「ラオス鉄道」誰が乗っている? 中国「ゼロコロナ」政策転換でさらに増えるか
さすがにこれでは不便ということで、開業後しばらくしてビエンチャン中心部のショッピングモールにチケット販売所が設置された。ただし、ここではビエンチャン発のチケットしか購入できず、現金やクレジットカード決済も不可能で現地の電子決済アプリによる支払いに限られる。しかも、割り当て枚数も限られているためすぐ売り切れてしまう。中国の鉄道はオンライン予約が当たり前になっている中、中国国鉄のラオス国内区間とも言うべきLCRが、このようなアナログの発券システムに頼っているのは解せない。
だが、タイなど国外の旅行会社経由でチケットを購入すると、なんと1カ月ほど前から任意の区間の購入が可能であるという。チケットの50%が旅行会社発売分に割り当てられており、大半の利用者であるタイ人観光客は旅行会社に多少の手数料を取られても、このシステムでチケットを入手している。おそらく、中国側でも同様の仕組みとなっているのだろう。
ラオスはかつて「自国通貨を利用しましょう」というスローガンが貼られるほどだったが、今回バーツ払いを求められたのは、タナレーンからの“白タク”だけだった。しかし、あえて国内でのチケット購入障壁を上げることで、高速鉄道は政府の外貨獲得手段として機能しているのではないだろうか。
駅にはタイ人観光客が続々
筆者が乗車するのは翌日の臨時92C列車、世界遺産の街・ルアンパバーン行き。復路は残念ながら全て満席だったため、2駅先のバンビエンで下車し、ビエンチャン行きのミニバスをつかまえなければバンコクに戻れないという強行軍である。
LCRのビエンチャン駅は、いかにも中国という風格の巨大な駅舎である。広角レンズでも相当離れない限り、この駅舎の全貌を写すことはできない。ラオス語と同じくらいの大きさで「万象」と中国語で書かれた巨大な駅名が目を引く。駅構内の案内サインには英語も併記されているが、巨大な駅名表示から英語を取り除いているのは意図的なものを感じる。
駅前広場にはタイ人観光客を乗せたマイクロバスが次々と到着し、駅舎へ吸い込まれていく。コロナ前のように欧米からバックパッカーがどっと押し寄せ、さらに中国国境が開いた暁には、今の本数では完全に輸送力不足になることが容易に想像できる。駅舎に入るには身分証明書とチケットの提示が必要で、さらにその後セキリュティチェックがあり、空港同様の荷物検査が実施される。それを抜けると、巨大な吹き抜け空間の待合室である。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら