人気で切符入手難「ラオス鉄道」誰が乗っている? 中国「ゼロコロナ」政策転換でさらに増えるか

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現在、旅客営業はタナレーンまでだが、この先にLCRと連絡するビエンチャン南貨物駅が開業し、貨物列車が運転されている。そこでコンテナを積み替えることで、中国―ラオス―タイ3国間の物流ルートが構築された。

ビエンチャンの鉄道路線と駅
ビエンチャンの鉄道路線と駅の概略図(編集部作図)

ただ、駅舎側は10年前と何ら変わらず、両替所はおろか、食堂の一つもない。市内への移動も、駅前で独占営業している、いわゆる”白タク”に乗らざるを得ない。

タナレーンから先はビエンチャン南貨物駅を経て、未営業ながら在来線のビエンチャン(カムサワート)駅までがすでに完成している。この延伸はタイによる政府開発援助で実施されており、約25億バーツ(約96億6800万円)のソフトローンと無償援助契約が結ばれている。いずれは旅客列車についても、バンコクからの優等列車がカムサワート駅に乗り入れることになるものと思われる。同駅はLCRのビエンチャン駅ほどではないが、それでも威風堂々と形容できるくらいの大きさはある。

カムサワート駅
すでに完成している在来線のカムサワート駅。バンコクから直通列車が乗り入れる日は近いか?(筆者撮影)

しかし、貨物についてはタイから延びる在来線(1m軌間)のレールと中国から延びる高速鉄道規格の標準軌のレールがビエンチャン南貨物駅で並んでいるのに、旅客駅はなぜずらして設置するのだろうか。タナレーンからの延伸にタイが政府借款を供与しているあたり、政治的思惑も感じずにはいられない。

ただ、タイ側ではバンコクからノンカイに至る標準軌の高速鉄道建設が計画されており、そのうちの第1期区間であるナコンラチャシマまでは中国の技術支援ですでに着工している。仮にこれがノンカイまで延伸すればLCRと接続することになろうが、そのときのカムサワート駅の立ち位置はどうなるのだろうか。

チケット販売は「駅窓口のみ」

LCRビエンチャン行きのバスは、メコン川ほとりの市内中心部にあるターラットサオバスターミナルから、LCRの定期列車ダイヤに合わせて1日2本運行している(所要時間30~40分)。バスターミナルには、日本の無償資金協力「ビエンチャンバス公社運営能力改善プロジェクト」の一環で導入した緑色のいすゞのタイ製バスがたくさん並んでおり、LCRビエンチャン駅行きにもこのバスが使われている。

ターラットサオバスターミナル
ビエンチャン中心部のターラットサオバスターミナル。日本の援助で導入されたバスに交じって、中国製のバスも停車している(筆者撮影)

最大の目的であるLCRへの乗車だが、困ったことにチケットの販売は基本的に駅の窓口のみで、2日後の分までしか購入できない。しかも、この窓口は始発から最終列車まで開いているわけではなく、列車の発着のない時間は閉まってしまう。おかげで、ビエンチャン駅の発券窓口は朝から長蛇の列だ。当日のチケットはほぼ満席状態で、駅で直接買って乗るということはかなり難しい。

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