人気で切符入手難「ラオス鉄道」誰が乗っている? 中国「ゼロコロナ」政策転換でさらに増えるか
列車はずっと前から入線しているが、発車時間の20分くらい前になってようやく改札が始まった。ホーム上で極力うろうろされたくないと見える。列車は中速タイプの中国中車製CR200J型車両。ラオス側は3本を所有しており、同国旗をモチーフにしたカラーをまとう。最繁忙期以外は2本を使用、1本は予備という体制で、同鉄道の本数が少ない要因になっているが、このほかに機関車牽引の客車編成(最高時速120km)が2022年4月に1本追加され、ビエンチャン―ボーテン全区間を通しで走る列車が2往復になった。
新型コロナ問題が片付けば、中国保有の同型車が乗り入れてくることになるので、増発も可能になる。直通運転は開始されていないものの、中国のゼロコロナ政策の転換に伴い今年の春節以降、中国人利用者も急増しており、連日満席状態での運行が続いている。
このCR200J型車両、中国語の案内でも「動車組」と紹介されているが、中国国内で一般的な新幹線タイプの動力分散方式ではなく、動力車は片側の先頭車1両という、限りなく客車列車に近いタイプの車両である。もっとも、営業最高時速160kmの路線には十分であるし、ラオスの情勢をくみとり、より経済性を重視した設計であるといえる。中国側でも同型車を地方線区に導入しており、ローカル区間の輸送改善用に開発された車両であることがわかる。普通車(セカンドクラス)の座席は新幹線普通車と同様の2列×3列の配置だが、回転式ではなく全ての座席が中央に向く集団見合い式である。このほかにビジネスクラスとファーストクラスを備えている。
123kmを55分で走破
車内はほぼ満席で、タイ人観光客が大半と見えるが、中国人も多い。乗車当時、中国国境は封鎖されて往来はできなかったはずだが、ラオス在住の中国人ビジネスマンやその家族だろう。あちこちで中国による開発が進んでおり、相当数の在留中国人がいて当然だ。
今回乗車するバンビエンまでは123km、所要時間はわずか55分である。運賃は12万5000キープ(約1010円)。LCRは全線単線のため、駅と駅の間に列車行き違い用の信号所が設けられており、時刻表上は1駅通過するだけだが、実際にはより多くの駅を通過している感じを受ける。
車窓には常に高速道路が並行する。これも中国の資金援助と技術により建設されており、ビエンチャン―バンビエン間が開業している。将来的には中国まで繋がるはずだが、資金問題等から未着工である。何もないところで妙に減速するなと思ったら、景勝地通過時のサービスで、観光案内が放送された。その後は大して速度も上がらないままバンビエンに到着。駅構内には貨物列車が2本止まっており、この列車の到着を待って1本はビエンチャン方面に出発した。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら