北東北最大の工業都市・八戸、臨海部の鉄鋼メーカーなどに被害【地図で見る震災被害】
ねじ節鉄筋最大手の電炉メーカー、東京鉄鋼の八戸工場(八戸市大字河原木海岸)も数十センチの浸水にあった。同工場は北東北唯一の棒鋼工場。棒鋼は主に建材として使われる。今後、被災地復興のための建設需要も見込まれるため、早期の操業再開が期待される。
また、三菱製紙の八戸工場(八戸市大字河原木字青森谷地)も津波の影響で、工場の1階部分が浸水。建物や抄紙機本体の被害は軽微だったが、電気系統の被害が大きく、操業再開は、パワープラントで4月下旬、抄紙機などは5月中旬からとなる見通しだ。
ほかにも、非鉄大手の三井金属の八戸製錬工場(八戸市大字河原木字浜名谷地)も津波で冠水する被害を受けた。同工場は亜鉛や鉛の製錬や硫酸・石膏の製造を行っていた。また、特殊鋼メーカーの日本高周波鋼業の鋳物子会社である高周波鋳造(八戸市沼館)もモーターの一部設備が冠水するなど操業を停止している。
こういった事業所では震災、津波そのものの影響も大きかったが、物流と電力というインフラ面の乱れも各工場の操業再開を遅らせる大きな要因となっている。津波で八戸港には自動車や船などが流れ込み、一部で船舶の航行が不能になった。現在は、米軍のダイバーなどの協力で障害物を取り除く作業を進め、港湾での荷揚げ作業がようやく再開した状況だ。
電力では、東北電力の八戸火力発電所3号機が津波被害で11日に停止。16日に再稼働した後も、ボイラーの不具合で再度停止するなどした結果、停電が長引いた。浸水で各工場の電気系統にも故障が多く、それぞれ各設備に通電をしながら状況確認を始めている段階。操業の本格化にはもうしばらく時間を要する見通しだ。
(山内 哲夫=東洋経済オンライン)
■地域の経済力
・八戸市
民営事業所数 1万1580事業所(全国79位)
製造品出荷額等 5857億円(同130位)
製造品出荷額上位業種と構成比
1位 鉄鋼 26.9%
2位 紙・パルプ 17.9%
3位 食料 15.7%
(出所・都市データパック2010年版)
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