北東北最大の工業都市・八戸、臨海部の鉄鋼メーカーなどに被害【地図で見る震災被害】
太平洋に臨む北東北最大の工業都市、青森県八戸。5000トン級貨物船が入出港できる大型港湾を有することから、鉄鋼や紙・パルプなど大型の工業拠点が臨海工業地帯を中心に集積していたが、東日本大震災の影響で軒並み操業停止。産業の大本であるこれらのメーカーで停滞が長引けば、川下産業への影響も出てきそうだ。
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三菱製紙、大平洋金属、三井金属、東京鉄鋼、日本高周波鋼業、北日本造船・・・。北東北有数の工業地帯を誇る八戸は、鉄鋼を中心に発展を遂げた。その理由は砂鉄や石灰石といった製鉄資源が豊富だったこと。海外から安価で大量の鉄鉱石が輸入されるようになったことで砂鉄の生産はなくなったが、鉄鋼メーカーは事業内容を変えながら、この地で生産を続けてきた。1964年に全国15の新産業都市のひとつに選ばれたことから、紙・パルプなど鉄鋼以外の産業も続々と進出した。水産加工を中心とした食品産業もある。
今回の震災で大きな被害を受けたのが、大平洋金属の八戸本社・製造所(八戸市大字河原木字遠山新田)。津波対策で設備を高い位置に造っていたものの冠水を避けられなかった。それでも4階立ての施設の最上階などへの避難が速やかに進んだこともあり、人的被害は出なかった。現在は、通電による設備の損傷を確認中であり、操業再開の見通しは依然立っていない。
同製造所は、ステンレス原料であるフェロニッケルの国内最大の生産拠点。競業の住友金属鉱山を大きく上回る生産量を誇っていた。復旧作業の進捗次第では自動車や住宅など、ステンレスを使う幅広い産業に影響が出る可能性がある。