JR北海道の新駅「ロイズタウン」開業後の実態は? 地元チョコ企業の名を冠し観光客誘致狙うが…

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ロイズタウン工場では、現在チョコレートの製造工程を見学できる施設「ロイズカカオ&チョコレートタウン」をプレオープン中だ。現在はすべての設備を楽しむことはできないが、2023年春以降にグランドオープンする予定だという。プレオープン施設への入場には公式ホームページから予約が必要で、入館料は大人1000円、子供(4歳〜中学生)300円。13時入場分を予約して、入ってみる。

館内はカカオの収穫や乾燥からチョコレートが完成するまでの工程がわかりやすく説明されており、体験可能な設備もあって飽きない。さながら「チャーリーとチョコレート工場」の世界に迷い込んだような気分だ。出口付近には「チョコレートワークショップ」と呼ばれる体験施設があり、別料金(大人、子供一律1人1500円)を支払うとチョコレートを自ら作り、お土産に持ち帰ることができる。北海道の厳しい寒さは、チョコレート作りに適しているようだ。

ロイズコンフェクトは新千歳空港内にも博物館施設「ロイズ チョコレートワールド」を展開している。この展示は空港内で気軽に見学できる無料の施設で、チョコレート製造工程の一部を紹介する内容なのに対し、ロイズカカオ&チョコレートタウンはカカオの実の収穫から完成までを一連の流れとして学べる本格的な学習設備を持つ。観光利用のみならず、学校の社会科見学などでも利用できるような内容だった。

道内観光の目玉になれるか

実際にロイズタウン駅とロイズタウン工場、そして「ロイズカカオ&チョコレートタウン」を見学してみて、道内の新たな観光資源および当別町内の交流人口増加の起爆剤になりうることは間違いないと感じた。

ただ、プレオープン施設については現時点だと観光客だけでなく、北海道民への認知度が低いことは否めない。直売店へ向かう観光客は多かったものの、取材日が平日だったこともあってか、プレオープン中の施設に入館する人は決して多くはなかった。道内の知人に聞いてみても、そもそも新駅開業の話題を知らない人が多く、工場が立地する当別町観光協会の公式ホームページでは「ロイズカカオ&チョコレートタウン」の紹介すらされていない。

グランドオープンが発表されていないだけに致し方ない部分もあるだろうが、多数ある道内観光地の中から選ばれるためには積極的なPR活動や「白い恋人パーク」などの類似施設との差別化、JRおよびロイズと当別町とのさらなる連携などが今後の鍵になりそうだ。

「ロイズカカオ&チョコレートタウン」の出口前には、来館者がメッセージを書ける場所がある。たくさんの枝が張り巡らされた木のイラストの随所に「ビトエ(工場が立地する地名)の誇り」という文字が見られたのが印象的だった。

まもなく開業1周年を迎えるロイズタウン駅と、新たな観光資源「ロイズカカオ&チョコレートタウン」による当別町の活性化に期待したい。

吉谷友尋 鉄道ライター

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よしたに・ともひろ / Tomohiro Yoshitani

1991年生まれ。『JR全路線DVDコレクション』(デアゴスティーニ)や『鉄道ジャーナル』、Webなどで執筆活動を行う。著書に『ひとりでよめる!はじめてのずかん しんかんせん・でんしゃ』(講談社ビーシー、編著)がある

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