生産性低い企業に共通する「ムダな時間の使い方」 やっても成果が出ない徒労感の原因はこれだ

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「活力」「集中」「連携」「協力」という生産性を向上させる4つの要素については、働く場所と働く時間の設計をどのように選ぶかによって、大きく変わってくる。ただし、その選択は簡単ではない。

働く場所のデザインに関しては、みんなが同じ場所で働く集合型(たいていはオフィス勤務)と、バラバラの場所で働く分散型(たいていは在宅勤務)があり得る。オフィスを真の協力の場と位置づけて、イノベーションを開花させることを目的にした取り組みをしている企業があれば、働き手の活力を高める可能性がある在宅勤務を採用する企業もある。

次は、働く時間に目を向ける。みんなが同じ時間に働く同時型(同僚同士がつながり合う)と、バラバラの時間に働く非同時型(同僚同士がつながらない)があり得る。

社内の人的ネットワークが占める重要性

全員が同時に仕事をすれば、連携はしやすい。しかし、このやり方で真の成果を挙げるためには、つながらない時間を設けたり、職場の「儀式」を定めたりするなど、意識的にスケジュールを決める必要がある。カナダ年金制度投資委員会リーダーのダリオ・コサラックはこう述べている。

「オフィスで働いていて、同僚たちにひっきりなしに声をかけられて『どうすればいいと思う?』だの『どう思う?』だのと言われると、生産性が落ち込みます。私たちはこのことに気づきました」

一方、非同時型の働き方の下、集中して生産的な仕事をするには、まとまった時間を確保するための仕事のデザインを意識的に確立しなくてはならない。カナダ年金制度投資委員会の主要な役職の多くで生産性を支えている要素は集中と連携だ。ひとりひとりが個人で思考を巡らせ、分析し、執筆すること、そして、同僚と一緒にアイデアを形づくり、意見交換することが重要だ。テクノロジーを活用すれば、こうしたことの大半はリモートで再現できる。

新型コロナのパンデミックは、働く場所と働く時間について考え直す機会をもたらし、いくつもの新しい機会と課題を生み出した。働く場所と時間の柔軟性をどの程度認めるべきなのか。

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