増設か拡幅か、首都圏で続く「ホーム改良」の違い 武蔵小杉は下り側に新設、渋谷は1面に統合
同駅は、旧外回りホームが最大幅15m、旧内回りが最大幅12mだったとはいえ、そのように広い箇所は一部だった。新しい島式ホームは最大幅15.9mあり、実際に見てみると全体的に広さを感じる。工事中の箇所があるため狭苦しく感じる部分もあるが、工事が終わればだいぶ印象も変わるだろう。
同駅はもともと内回りホームが複線に挟まれた形で「島」になっていたが、1940年7月までは同ホームを内回り・外回りが使用しており、同年に旧外回りホームを増設。この形が80年以上続いていた。つまり、前述したホーム増設を戦前に行い、そして今年再び島式に戻ったわけだ。
今回の島式ホーム化では、内回りの線路は東側に、外回りの線路は西側に移動して、ホームの幅を拡幅している。この工事のために電車の運休も行った。渋谷駅は埼京線ホームの移設など全体的な大規模工事を行っており、その中で内回り・外回りホームの統合と拡幅という大工事が可能だったといえる。
渋谷駅では、東京メトロ銀座線も2020年1月に乗車・降車の分かれたホーム2面から島式ホーム1面に変わった。同駅は場所も移動しており、この際も電車の運休を伴う大規模工事となった。島式ホーム化やその拡幅は線路の移動を伴うため、大規模な駅改良の一環として行われるといえる。
ホーム「延伸」で島式化も
一方で、ちょっと変わったケースもある。小田急電鉄の代々木八幡駅は、もともと上下線のホームが別々の相対式2面2線だったが、2019年3月に島式ホーム化した。同駅は両端を踏切に挟まれているためそれまでは8両編成までしか停車できず、各駅停車10両化のネックになっていた。同駅は急カーブでもともと上下線の間が広く開いており、ここに10両対応の島式ホームを新設した。島式化したのは、相対式ホームのまま延伸すると幅が狭くなったり、外側の道路に影響が出たりするためだ。
駅ホームの工事は、毎日乗客が利用する場所であるだけにさまざまな困難がある。その中で、列車の運行や乗客の利用に影響することなくスペースを広げるため、線路の外側に新ホームを増設するケースもあれば、駅とその周辺を含めた再開発に合わせて島式化・拡幅を図る例もある。ホームの改良はそれぞれの駅の事情に応じ、利用者への影響を抑えつつさまざまな形で行われているのだ。
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