マック「PUFFY風」新CMに苛立つ人が見落とす変化 「アジアのジューシー」CMは"安易な劣化版"なのか

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「(音楽部分が長すぎて)スキップしたくなった」「もっと商品を先に見せたほうが広告として効果が高くなると思う」という意見もあったが、このような感想になったのは、ネットで動画を再生してもらったことによるバイアスもあると思われる。

Z世代の広告に対する受容度は、上の世代とは大きく異なっている。NetflixやAmazon Primeなどで映像コンテンツを見慣れている若者にとって、地上波テレビ放送で流れるCMは「鬱陶しい」と思われたりする。

一方で、ネット上で流れる広告に関しては、多少押しつけがましいものであっても(無料でコンテンツを見るためには仕方ないものなどとして)受け入れているし、YouTuberの企業タイアップ動画などは、自分から進んで再生したりもしている。

現代の若者は同じ時代に住んでいても、40代、50代(あるいはそれ以上)の世代とはこれまで接触してきた、あるいは現在接しているメディアや情報が大きく異なっており、それに伴って広告の受容性も大きく異なっている。

要するに、「PUFFY世代」がこのCMに対して違和感を覚える部分は、むしろ若者世代向けにしっかりチューニングされている部分である――と言えるだろう。

「全世代にウケる広告」が難しくなった時代

筆者が大学教員になった当初は、「いまの大学生は、自分とは異なる種類の生き物」と思ったが、よく話してみると、意外に彼らは過去のトレンドも知っていて、共通の話題もあり、十分に会話が成立する余地もあることに気付かされた。ところが、そこから踏み込んでいくと、共通の話題でも、理解や認識が異なっていて、改めて世代ギャップに気付かされることになる。

それは、世代(あるいは個人)によって、

1.接触している「メディア」が異なる
2.異なった文化的、社会的背景を背負って生きてきた

ということに起因している。

こうした中、マクドナルドのような、全世代の消費者を顧客とする企業が、効果的なマーケティング戦略、特に広告・プロモーション戦略を立案することは、難しくなってきている。

過去のマクドナルドの広告展開を見ると、試行錯誤の様子がうかがえる。

2021年には、チキンタツタ30周年でアニメ『タッチ』とコラボレーションを行い、「タッチ世代」を中心に好評を博している(参考記事:ニメ「タッチ」のCM起用が効果抜群だったワケ)。

ただし、若者に取ってみれば、『タッチ』は少し縁遠いコンテンツだったのではないかと思える。

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