マック「PUFFY風」新CMに苛立つ人が見落とす変化 「アジアのジューシー」CMは"安易な劣化版"なのか

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(画像:マクドナルドの公式YouTubeより)

上の世代のマーケターが、過去の流行を「レトロ」として仕立て直して提供することによって、捉えどころのないZ世代を攻略する方法は、手を付けやすくもあるし、一定の効果を期待することもできる、合理的なやり方だ。

若者が日頃TikTokで見ているのは「原典」ではない

90年代カルチャーが人気化する背景には、親世代の影響があると考えられるが、今回の学生へのヒアリングでは、TikTokの影響も感じられた。

現在、TikTok上では新旧の曲を聴くことができる環境が整っており、若者はそこで過去の楽曲に多数触れ、受容しているのだ。ここで注意すべきは、TikTokから流れてくる映像は、当時のものではなく、当時の楽曲を使った、「踊ってみた」等の現代の映像だ。

若者の多くは、PUFFYやその楽曲は知っていても、当時の彼女たちのファッションやパフォーマンスを知っているわけでもなければ、「原典」を忠実にコピーすることの意義も感じていないのだ(もちろん「完コピ」を志向する層が一定数存在するのも事実だが)。

なお、これが「パロディ」であることを認識しておらず、楽曲を使用しているだけだと理解している学生も数名いた。

「アジアのジューシー」で発売された3つのハンバーガー(写真:編集部撮影)

3つ目の「安っぽさ」についても、このCMが「TikTokから流れてくる動画」を意識して作られていると想定すると、「あえてこういう作りにしている」と理解できる。「お金がかかってなくて、ちょっとダサい感じがかえって新鮮」と言っていた学生もいた。

そもそも、マーケティングの最先端を行く超大手企業マクドナルドの主力商品において、PUFFYの曲をただ安直にパロディ化した、低予算CMを制作することは考えづらい。

4つ目のキャスティングの是非については、学生たちによると「SNSでよく見かける若者層の間で有名なタレント」とのことだった。「PUFFY世代」からしてみると、「マクドナルド(のような大手企業)が、なぜこのキャスティングをする?」と思うかもしれない。実際、巨大電子掲示板「5ちゃんねる」には、「マクドル『アジアのジューシー』CMのPUFFY役、適当な無名タレントではなかった」というスレッドが立っており、無名タレントだと思う人に対して訂正するような内容となっている。

5つ目の広告自体への評価だが、PUFFYの原曲を詳しく知らないだけに、パロディ、オマージュの部分はさほど若者層に違和感あるものとして引っ掛かってはおらず、だからこそ「広告」として素直に受容されたようだ。「(冒頭の)イラストがかわいい」という意見もあったが、このイラストは商品のラッピングにも使われている。

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