東北沿岸部のバイオマス発電全停でファーストエスコの「白河ウッドパワー」がフル稼働。大量のがれき廃材処理のニーズも【震災関連速報】
省エネ支援サービスとバイオマス発電を中心とするグリーンエネルギー事業を手掛けるファーストエスコの発電子会社、白河ウッドパワー(福島県白河市)がフル稼働を続けている。東北地域では山形の一部を除きバイオマス発電所がほぼ全面的に停止している中、数少ない稼働設備ということで「被災地のがれきの処理の相談が多くの自治体から寄せられている」(島崎知格社長)という。
白河ウッドパワーは、3月初旬より約12日間の定期検査中で、東日本大地震発生時も停止していた。山間部で比較的震源から近かったこともあり、設備の損傷は少なく、検査日数を2~3日伸ばした以外はほとんど影響がなかったという。
東北地域には大手製紙工場に併設するものを含め、15基(ファーストエスコ調べ)の商用ないしは自家用バイオマス発電所があるが、日本製紙(石巻)、三菱製紙(八戸)などの工場が壊滅的な被害を受けるなど、沿海部の設備はほぼすべて停止状態。福島原発周辺の避難区域に立地するため、稼働できないところもあるもようだ。
バイオマス発電所のなかには、石炭など他の化石燃料と混焼するタイプのものも多いが、白河ウッドパワーは100%木質チップを燃料としており、廃材も主要な燃料となる。地元の各自治体では、震災で発生した膨大な量のがれきを廃棄物処理業者に委託して処理する方法を検討中だが、処理業者が破砕してチップ化したものを一部、白河ウッドパワーが有償で買い取る予定だ。「当社としては適正な価格で買い取るつもりだが、量が量なだけに、白河地区でトン当たり3000円程度で推移していた木質チップ価格は大幅に下がる可能性がある」(同)。
ただ、臨海部のがれきは海水を被っていることから、設備にダメージを与える可能性もあるという。「焼却灰・煙などの成分を管理しながら慎重に運用する」(同)方針だ。
なお、白河ウッドパワーは、事業再編の一環で、新たにファーストエスコの筆頭株主となった日本テクノに3月末で売却することが決まっている。ただ、運用や原料調達については、引き続きファーストエスコが受託する計画だ。
(勝木 奈美子 =東洋経済オンライン)
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