4年目の移住者語る「田舎のルール」に今感じる事 池田町7カ条「都会風吹かすな」に隠れた感情

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回覧板に広報誌をまとめて入れて、「各自お取りください」という方式に変えたいところだが、「新参者の都会出身者」が長年の慣例を変えれば、効率重視で「都会風」を吹かしていると言われかねないので、タイミングを見計らっている。なによりも、長老ら集落の権力者への根回しが必要なことは言うまでもないだろう。この辺りは、日本の多くの会社組織と共通する。

前出の長老に言わせれば、班長は組に住む人たちの安全や健康管理の役割も担っているという。広報誌の個別配布も、近隣住民たちに異常がないかを知ることができる貴重な機会というわけだ。

会合や葬儀への出席は半ば義務

そのほか、集会場の掃除が定期的に回ってくるほか、消防団への参加を頼まれたり、班長として自治会の年4回の会合とは別に、事前会合のような集まりにも参加したりしなければならない。

また、集落で不幸があった際には、葬儀への出席も義務とされている。さらに、機会があるごとに、自治会の役を将来的には引き受けてくれと頼まれることも、気軽な田舎暮らしがしたいと考えている筆者にとっては気が重い。

都会で自治会に加入していなかった筆者も引っ越してきた当初は、自治会に加入せず人付き合いもほどほどに気楽に暮らしたいと考えていたが、田舎で自治会に入らないのは「村八分」になるようなものであると知った。

聞いた話だが、自治会に加入していない移住者に茶刈りを頼まれて快く引き受けていた人が、「お前はそんなに金が欲しいのか」と知人から言われたという。人間関係でつながり合う田舎では、口コミが非常に重要な役割を果たしている。自治会に入らない「不届き者」と仲良くするとは何事かと、プレッシャーがかけられてしまうこともある。

口コミは、非常に怖い面もある。筆者が引っ越してきた当初、近隣の各戸にお菓子を手土産に挨拶に回ったのだが、1軒だけたまたま訪れた際に不在で挨拶が遅れたが家があった。

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