4年目の移住者語る「田舎のルール」に今感じる事 池田町7カ条「都会風吹かすな」に隠れた感情

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こちらは引っ越してきたばかりでいろいろと忙しく2カ月ぐらい挨拶を放置してしまったのも悪かったが、地域の共同浴場で、その主が「挨拶に来ない」などと話し悪評が立っていると知人から聞かされ、急いで挨拶に行ったこともある。

口コミは一気に広まるため、ささいなことで印象が決まってしまうこともある。特に新参者である移住者は、集落の住民に一挙手一投足が見られているのは、広報誌に書かれているように事実であり、特に移住したばかりの行動や言動には気をつける必要があるだろう。

相互扶助のよさもある

こう書いてみると、なかなか田舎暮らしは大変だと思われるかもしれない。だが、少なくとも筆者が住む地域では、人口の減少とともに、どんどん自治会などの務めは減っており、大きな役を仰せつかわない限りは、それほどの負担感がない。大きな菜園で野菜を栽培したり、薪ストーブや五右衛門風呂の煙を気にせずに生活できたり、田舎生活の魅力は書き切れないほど存在する。

さらに、草刈りや公園掃除も、今では喜んで参加している。行政から委託されて河川敷や公園などの草刈りを行っているが、日当と弁当が支給され、さらに刈り取った大量の雑草は、ほぼ全量を引き取って畑の堆肥づくりに生かしている。

その量は軽トラ10台以上に上り、自然に近い形で肥料や農薬を使わない家庭菜園を営む筆者にとっては宝の山である。草刈りの集まりでは、日頃知り合うことがない人たちとも出会える貴重な機会で、メリットしかないと思っている。

公園掃除も今の暮らしには欠かせない行事である。地区が管理する公園には、桜が植えてあるが、この老木が倒れる危険性があるということで伐採する。桜の木は、薪ストーブの燃料としては、火力や火の持ち、香りといずれも最上級の薪である。

その薪が大量に手に入るのだ。しかも、参加者が伐採してくれて、集落の住民が軽トラまで出してくれて自宅に運んでくれる。この公園掃除も日当、弁当が支給され、冬を越すのに十分くらいの薪が確保できるという夢のような話になっている。

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