「ロッテリア」ゼンショー傘下入りを巡る台所事情 マクドナルド、モスに及ばず収益は苦戦していた

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注目したいのは利益剰余金だ。これは厳密な説明ではないが、これまでの企業が生み出した利益を積み立てたお金のことで、黒字なら積み上がっていくが、赤字なら減少していく。ロッテリアの場合はここ5年間でマイナス19億~26億円台で推移していて、経営状況がそれだけ厳しいことを意味する。

なおこれも先の理由で非上場ゆえの推測になるがロッテリアの年間売上高は200億円程度とみられる。ここで5年の純利益の平均を計算すると、ほぼ利益が出ていない。売り上げ規模は小さくない。しかし、純利益を出せない体質。これがすべてとはいわないが、ゼンショーとの経営統合を決断させた理由のように思われる。

ロッテリアのこれから

繰り返すがゼンショーは巨大飲食チェーンであり、多くの店舗を展開する。ロッテリアがこれまで選択できなかった好立地を取得できる可能性がある。さらに、同グループの不採算店をロッテリアに置き換える場合もありうるだろう。さらにフランチャイズ事業もある。海外進出しているブランドも多い。

2009年にはゼンショーグループはハンバーガーチェーンの「ウェンディーズ」との契約を更新せずに撤退する決断も下しているが、そのときの教訓もあるだろう。

あくまで私の個人的感想にすぎないが、ロッテリアに行くと「半熟タマてりバーガー」「絶品チーズバーガー」など商品力の強いものもある。店舗展開が進み(なんといっても現在はマクドナルドの約9分の1くらいしかないのだ!)、さらにゼンショーグループとの人材交流・活用による効果で商品開発力が向上すれば、業績上昇がありうるのではないだろうか。

とくにゼンショーグループは店舗運営において効率化を図るノウハウを有している。さきほど推定200億円の売上高にたいして、5年平均でトントンという試算を紹介した。たった数パーセントの改善であっても、それを積み上げていく効果は大きいはずだ。

ロッテリアのブランドがいつまで使えるかは発表内容からはわからない。そのときまでにビジネスモデルをゼンショーグループ流に置き換え、稼げる状態に切り替えることができるか。

ゼンショーグループがウェンディーズの轍を踏まず、日本に浸透したロッテリアブランドを飛躍させることができるか。4月以降に変化が始まる。

坂口 孝則 未来調達研究所

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さかぐち・たかのり / Takanori Sakaguchi

大阪大学経済学部卒。電機メーカーや自動車メーカーで調達・購買業務に従事。調達・購買業務コンサルタント、研修講師、講演家。製品原価・コスト分野の分析が専門。代表的な著作に「調達・購買の教科書」「調達力・購買力の基礎を身につける本」(日刊工業新聞社)、「営業と詐欺のあいだ」(幻冬舎)等がある。最新著は「買い負ける日本」(幻冬舎)。

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