「セブンとイオン」意外と知らない稼ぎ方の差 似ているようで異なる2つの大手流通グループ
イオンの収益構造は、まさに食品を中心としたスーパーを核とした商業施設に来店してもらうことで、商業施設としての集客力を実現し、その力でテナントを集め(ディベロッパー事業)、その決済資金流を確保し(金融事業)、あわよくば、テナント専門店もグループ企業で構成していく、といった複合的小売業として構築されている。
スーパーが低収益であるのが望ましいとは言えないのだが、トータルでそれなりの収益を生み出すためには、そこはやむをえない部分はあるのだろう。それ以上に、イオンの複合的商業施設は、全国のほとんどの地方エリアに多業態で展開している唯一の小売企業であることが、これから、大きな価値を生む可能性がある。
DX時代の小売業の潜在的価値
DX時代の小売業の潜在的価値は、顧客接点の多様さ、顧客との接触時間の長さだ。小売業としては、土日の大型モール、日々の買い物でさまざまな接点を持つイオンの右に出るものはいないだろう。
さらに言えば、テナント企業を通じて購買情報にもアクセス可能であることを考えれば、消費者に関する情報量でみれば、比肩しうる企業はあまりなさそうだ。この点ではセブン&アイは、ざっくり言えば飲み物と弁当などコンビニとしての接点に限定される。
全国のさまざまな地域の生活者との多様な接点を持っていることが、これからのコンシューマービジネスにおける価値である以上、イオンの存在を無視できなくなる。市場の評価という点では、ライバル、セブン&アイのはるか後塵を拝するイオンではあるが、短いスパンでは評価しがたい長期的な価値を創ろうとしているしぶとい存在なのかもしれない。
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