「人が前のめりで聞いてくれる」話題作りの技3つ 一方的に伝えるのではなく、「聴く姿勢」も重要

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ここで言う共感とは、「Empathy(相手の立場に立って、気持ちを理解する力)」であり、「Sympathy(相手への同情)」ではありません。リーダーの最も大事な要素は、チームをまとめ上げることと、優れた意思決定を行うことです。相手の視点や立場を理解しつつも、感情に流されるのではなく、冷静に考え、チームとしての最善な意思決定をすることが重要です。

私が商社の経理部にいたときの上司は、とてもリーダーシップに長けた人でした。

私が商社を卒業した後、この上司と食事をした際に、チームマネジメントでどのようなことを意識しているのか聞いてみました。印象的だったのは、「メンバーに仕事を任せて、極力余計な口は出さずに見守る。ただし、自分から情報を集めてチームの状況を把握し、いつでもフォローできるようにしている」という話です。

なぜ、そのような手間のかかるアクションを取っているかというと、メンバーの主体性や自律性を育むことが、成長に繋がると信じているからだそうです。

リーダーに必要な共感は、相手の立場に立って、その人の気持ちを理解しようとする行動から生まれます。トップダウンではなく、横に広げて熱狂を生んでいくアプローチが、企業経営や、リーダーシップにおいて必要になっています。

メンバーへの共感に必要なこととは

困難に直面するメンバーを奮い立たせるのは、リーダーの共感。そのために必要な行動は、「聴く」「認める」「思いやる」の三つです。

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まずは相手の話を、相手の立場になって、相手の気持ちを感じながら「聴く」ことです。

聴くことは、話すこと以上に相手に力を与えることがあります。言葉だけを捉えるのではなく、相手の表情や声のトーンも観察し、全身で相手の感情を受け取ることが大切です。

次に、相手の置かれている状況や困難を「認める」ことです。

困難な状況にある仲間への「大変だっただろうね」「しんどかったね」「つらかったね」といった一言。直接的に目の前の課題を解決するヒントにはならなくても、自分の立場や苦労を理解してもらうことは前向きなエネルギーを生み出します。

最後に「思いやり」を行動で示すことです。

私が一緒に働く友人がシンガポールへ出張していたとき、新型コロナに罹り、ホテルに隔離されていました。

1人不安を感じていたところに、現地の事業責任者から連絡が入ります。責任者の彼は、忙しいスケジュールの合間を縫い、すぐにたくさんの食材を買い込んで、友人のいるホテルに届けてくれました。

新型コロナに罹ったと聞いて、「大変だね。何かできることがあれば連絡してね」と言える人は少なくないと思います。しかし「自分が海外で病気になれば不安だよな。誰かの助けが必要だよな。食べ物も買いに出られないし、困るだろうな」と、相手の立場に立って考え、行動に移せる人はなかなかいません。

相手に関心を持つこと、苦しみを認めること、思いやりを示すこと。リーダーの共感を示す行動が、困難に直面するメンバーの心に火を付け、奮い立たせるのです。

岸 昌史 Axia Strategic Partners代表取締役

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きし まさふみ / Masafumi Kishi

関西学院大学商学部、北京大学Executive MBA、桑沢デザイン研究所戦略経営デザインコース卒。学生時代はアメリカンフットボール部に所属し、日本代表や日本一を経験。
2005年三井物産へ入社し、インドネシアへ単身駐在。新会社4社の立ち上げをリード。2016年ボストン コンサルティング グループに移り、入社2年目に年間MVPを受賞。その後TABILABO(現:NEW STANDARD)へ転職し、事業統括責任者として経営全般に関与。
2019年「人の持つ可能性を爆発させ、未来の憧れとなる人や組織を生み出す」ことを目的に、経営コンサルティングとコーチングサービスを提供するAxia Strategic Partnersを起業。

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