「韓国産アサリ」国産と偽わざるを得ない深刻事情 数十年間にわたり「産地偽装」が常態化していた
この改正の背景には、アサリの採捕までの期間がおおむね3年程度であること、現状、稚貝の輸入は確認されていないのに対し、成貝を1年半以上育てることは難しいことなどから、前記改正後のルールの下では、輸入アサリを「国産」と例外的に表示できるケースに当たる場合はほとんどないだろうとの見込みがあったようです。
さまざまな法令に違反するおそれ
――産地偽装の法的責任は?
産地偽装した場合の法的責任には、(1)食品表示法違反、(2)景品表示法違反、(3)不正競争防止法違反――などがあります。
食品表示法は、食品表示基準に違反する場合を措置命令等の対象とするとともに、虚偽の原産地表示をした食品を販売した代表者等を2年以下の懲役または200万円以下の罰金に(19条)、その代表者等の法人を1億円以下の罰金に処するとしています(22条1項2号)。
また、景品表示法は、実際よりも著しく優良な商品であると示して不当に顧客を誘引する表示を禁止しています(5条1号)。そのような表示をした場合には、課徴金命令の対象とするとともに(8条1項)、措置命令に違反した代表者等を2年以下の懲役、300万円以下の罰金に(36条1項)、代表者等の法人を3億円以下の罰金に処するとしています(38条1項1号)。
不正競争防止法は、原産地を誤認させる表示をした商品を売買する行為を「不正競争」の1つとして規定しています(2条1項20号)。その行為を他の業者からの販売差止や損害賠償請求の対象とするとともに(3条、4条)、不正の目的をもって、その行為をおこなった代表者等を5年以下の懲役、500万円以下の罰金に(21条2項1号)、その代表者等の法人を3億円以下の罰金に処するとしています(22条1項3号)。
さらに加えて、産地偽装するにあたり、取引過程に複数の架空業者(輸入業者や蓄養業者)を介在させる場合には、書類上、仕入価格(経費)等を架空計上するに至るケースもあり、この場合には、法人税法違反等の脱税事件に発展する可能性もあります。
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