防衛力強化で石垣・与那国に生じる「不安の正体」 タモリさん番組で「新しい戦前になる」と発言

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こうしたなか、宮古島では、1月に予定していた弾道ミサイル飛来を想定した避難訓練が取り止めとなった。公民館などに避難する訓練では通常の防災訓練と変わらず意味がないからだ。そう考えれば、やはり宮古島でも、防衛力の増強と並行して島外避難計画の策定とシェルターの建設が最優先課題になってくる。

ロシア軍の侵攻が続くウクライナとは異なり、先島諸島は、文字どおり「島」であることが最大のネックだ。

武器や弾薬だけでなく、食料や医療品が陸路では補充できない。欧米などからの直接支援も受けにくい。そのため、弾薬などの保管庫は不可欠になる。一度に多くの住民を避難させる大型船や航空機用のインフラ整備も急ぐ必要がある。防衛面でも、2月17日から始まる日米共同統合防空・ミサイル防衛訓練のような合同演習、そして、近く予定されるミサイル部隊の増派などは「必要悪」と考えたほうがいい。

日米同盟が機能するかどうか

「台湾有事が起きれば当事者となる台湾は、地形上、天然の要害で、中国軍が上陸できる海岸は数カ所、パーセンテージでいえば10%程度しかありません。そして台湾軍はかなり強いです。中国に台湾を攻める力があるかどうか、米韓のような共通の司令部がない日米同盟が機能するかどうかの検証も必要です」

これは、1月13日、外国特派員協会で石破茂元自民党幹事長が語った言葉である。この見解には筆者も賛同する。中国の動きや戦力を冷静に分析したうえで、日米でどう対処できるのかを詳細に詰めておくことは急務だ。

それと同時に、有事の際、最前線となる先島諸島ではどんなことが予想されるのか、そのために何をどの程度置くのか、そして住民避難をどういう手順で実施する方針なのか、きちんと説明することも国にとっては重大な責務となる。

それは、タモリさんが指摘した「新しい戦前」が、あまりにもリアルに、これまでゆったりとした時間が流れてきた美ら島、先島諸島の島々を覆い始めているからである。

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宮古島市役所
宮古島市役所。ここでもシェルター建設が急がれる。(写真:筆者提供)
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清水 克彦 政治・教育ジャーナリスト/大妻女子大学非常勤講師

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しみず かつひこ / Katsuhiko Shimizu

愛媛県生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。京都大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得満期退学。在京ラジオ局に入社し政治・外信記者。米国留学後、キャスター、報道ワイド番組チーフプロデューサーなどを歴任。著書は『日本有事』(集英社インターナショナル新書)、『台湾有事』『安倍政権の罠』(ともに平凡社新書)、『ゼレンスキー勇気の言葉100』(ワニブックス)、『ラジオ記者、走る』(新潮新書)など多数。

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