防衛力強化で石垣・与那国に生じる「不安の正体」 タモリさん番組で「新しい戦前になる」と発言
それだけの負担をわずか1700人の島民に背負わせるのであれば、国は、訓練や部隊の増派について住民にていねいに説明し、島内および島外への避難経路や避難場所を確保すること、さらには財政面での支援を手厚くすると確約する必要があるだろう。
自衛隊初の基地竣工を控えた石垣島
「市の人口が史上初めて5万人を突破したら、大々的にバーベキュー大会を開きます」
石垣市の中山義隆市長がこう宣言したのは、去年の暮れ、2022年12月23日のことだ。
その時点での人口は約4万9500人。予定どおり3月に島のほぼ中央、平得大俣地区に陸上自衛隊の基地が完成すれば、「有事」の際の初動を担う警備部隊のほか、地対空ミサイル部隊、地対艦ミサイル部隊が置かれ、春には500人~600人の自衛隊員が転入してくる。中山市長の悲願は、皮肉にも島内世論を2つに割る基地の竣工で成就することになりそうだ。
国が石垣市に陸上自衛隊の配備を正式に打診したのは、2015年11月。石垣島は先島諸島の中心に位置しており、行政区域に尖閣諸島を持ち、さまざまな事態に対して迅速な初動対応が可能なロケーションだからである。
海上保安庁も石垣港に拠点を置き、つねに数隻の巡視船が停泊している。取材すると、「港周辺の高層マンションに中国人の居住者が増え、巡視船の出入りを監視している」(石垣市民)といった話も聞かれるほど、戦略的に重要な島だ。
そこに陸上自衛隊の大規模な基地や弾薬庫などが置かれるのは当然のことのように思うが、それが民意を反映しているかといえばそうではない。
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