育児をしながら「長編映画監督」やり遂げられた訳 マッドハウス渡邉こと乃さんが今思うこと
渡邉さん:長編映画の監督となると、どうしても労働時間が不規則になりますから、業界的にも子育てと両立している女性監督はまだレアなんです。
私の身近にもそういう人はいなかったので、監督のポジションの打診があった時は、「本当に私でいいんですか……?」とつい口にしてしまいました。
私の身近にもそういう人はいなかったので、監督のポジションの打診があった時は、「本当に私でいいんですか……?」とつい口にしてしまいました。
一方、「社内で作品を1番愛しているのは私だという自信はあった」と笑顔を見せる渡邉さん。会社からも「渡邉さんの作風と、『金の国 水の国』の世界観は合うと思う」と後押しがあり、監督を引き受けることを決意した。
本作の制作を進めていく上で、渡邉さんが特に重要視したのは「原作の良さをいかに伝えていくか」だ。中でも、原作を読んだ後に感じたエンディングの“多幸感”をアニメーションで表現することに注力したという。
渡邉さん:クリエーターとしての我を出すよりも、原作を知らない人に原作の良さを映像でどう伝えるか、原作を読んだことがある人には原作の魅力を映像でどう感じてもらえるかをすごく考えました。
『金の国 水の国』は、キャラクターがとても魅力的ですし、巧妙な伏線が張りめぐらされているため、マンガだと何度も読み返して楽しむタイプの作品です。
『金の国 水の国』は、キャラクターがとても魅力的ですし、巧妙な伏線が張りめぐらされているため、マンガだと何度も読み返して楽しむタイプの作品です。
渡邉さん:それを映像として1回見ただけで理解してもらうためには、ある程度は原作よりも分かりやすい構成や演出が必要になってきます。
そんな中、原作の伝えたいことと齟齬が生まれないようにバランスを取るのは非常に難しかったのですが、“多幸感”に包まれる最高のエンディングを迎えられるように、チームメンバーと試行錯誤を重ねながら作品をつくっていきました。
そんな中、原作の伝えたいことと齟齬が生まれないようにバランスを取るのは非常に難しかったのですが、“多幸感”に包まれる最高のエンディングを迎えられるように、チームメンバーと試行錯誤を重ねながら作品をつくっていきました。
育児との両立、コロナショック
本作の制作を進めていく中で、不測の事態が生じた。それは世界中が混乱に陥った、コロナショックだ。
アニメ制作では、脚本と絵コンテ完成後に作画の制作へ取り掛かるのが主な流れだが、この作画の制作へ入るタイミングで、コロナ禍が到来。「本当にこの混乱の中で作品を作り切ることができるのか、不安を感じました」と渡邉さんは明かす。
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