ソニー社長交代で見えた「再建→再成長」戦略 複雑さを増すグループ経営と「CFO/COO兼務」
その一方でグループ全体の事業ポートフォリオを仔細に把握できるため、適切な財務計画を立案し、異なる時間軸で進む複数の事業領域に対して適切に経営資源を割り当てることが可能になる。
新事業領域創出を可能にする新体制
「吉田が作ったパーパスは、感動バリューチェーンに置き換えられる。感動を生み出す何かを生み出し、それを最終的に皆様にお届けする。そのバリューチェーンをさらに太く、厚いものにしていく」と話す十時氏は、自身の掲げるテーマについて「ひとことで言うなら“成長”だ」と話した。
事業が成長するということは、すなわち顧客がソニーを選ぶということだ。それは収益という形だけではなく、新たな製品、事業アイデアを生み出す従業員全体にもポジティブな影響を与える。
「私は“経営の要諦は勇気と忍耐にあり”という言葉が好きだ」(十時氏)
かつて自身もソニーを退職したうえでソニー銀行を設立、成功に導いた起業家でもある。
「これまで少なからず経営に携わり、(自ら)リスクを判断し、覚悟を決めたうえで判断する勇気。そして時に逆風や矛盾に耐え抜き(結果が出るまで待つ)忍耐力が必要だと感じている」と話す十時氏に求められているのは、事業ポートフォリオの最適化もさることながら、新たなる事業領域を確立していくことだ。
新たに副社長となる御供氏は、平井一夫氏が社長を務めていた時代から、ソニーイノベーションファンドを率いてきた人物だ。同ファンドは従来の日本企業では考えられないほどの速度でベンチャーの評価を行い、シードあるいはアーリーステージでの融資を実行してきた。
アメリカ駐在が長く、知財畑で長くテックコミュニティの中に身を置いてきた御供氏は、テクノロジートレンドへの造詣が深く、イノベーションの小さな萌芽と別の点を結び付け、新しい事業の種を作ってきた。
昨年の7月から練りに練ってきた新しい経営体制。ソニーGは“再生”のプロセスを経て、新たな環境に適合した新しいカタチを手に入れた。これからは、さらなる世界的な企業への成長を目指すことになる。
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