とはいえ総合物価のこの数字は諸外国からするとまだ低調だ。とくに1990年代後半あたりからは横ばいになっている。他国とは対照的だ。この状態はデフレと問題視されていた。直近では高インフレが話題になるが、逆にいえばそれまで物価上昇がほぼなかった。
卵はほんとうに物価の優等生だった
しかし卵は物価の優等生といわれるだけはある。1970年の100%を起点に、ゆるやかだ。まったく上昇していないわけではない。そこから2021年には175%にまで上昇はしている。しかし総合物価から比較すると追いついていない。グラフで見ると、ほぼ横ばいに見える。
(外部配信先ではグラフなどの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)
一般的に、これまで卵が安くあり続けた理由は、生産者のコスト削減の努力に加えて、補助金の存在などもある。さらにスーパーマーケットが赤字でも販売してマグネット商品(客寄せ商品)として取り扱っていたケースもある。結果、貴重な動物性タンパク質の摂取源として食卓に君臨し続けた。
そして2023年。今年は終わっていないので統計には表れないが、ここ近年の最高値になっている。何があったのだろうか。
(1)鳥インフルエンザ
まずは世間を騒がせた鳥インフルエンザだ。各地で鳥の殺処分が起きてしまったために、卵の供給がかなり減少してしまった。原稿執筆時点の2月1日では25道県で1249万羽もの鶏が殺処分された。
農林水産省は継続しての防疫対策を強化するとしている。なお、この鳥インフルエンザの発生状況は日本だけではなく、世界各地に広がっている。世界の市場も影響を受けている状況だ。
(2)トウモロコシ
また、鳥インフルエンザ以外の理由も付け加えておきたい。それは飼料用のトウモロコシの高騰だ。トウモロコシの種類にも多々あるが、2020~2021年には平均で1トン当たり100ドル強だったのが2023年初頭には250ドルほどに急騰している。
中国がアメリカからの輸入を増やした背景もある。米中経済戦争の結果、中国が交渉の末、アメリカにアメリカ産トウモロコシの輸入増を約束した結果だ。中国はアメリカから大量輸入する形になった。
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