アメリカに本社を置くウォルト・ディズニー・カンパニーのボブ・アイガーCEO(最高経営責任者)が7000人の人員削減に踏み切ると表明した。その効果は他のコスト削減を含めて55億ドル(約7230億円)という。同社が世界で雇用している従業員数は約22万人と推計される。日々の変動はあるだろうが、7000人は約3%にあたる。
アメリカでは大手IT企業や大手金融機関などで大規模なリストラが相次いでいる。一方で、今年1月の雇用統計で失業率は3.4%と半世紀ぶりの低水準。求人そのものは好調で、不採算・低迷する分野から成長している分野に労働者が流れていく一環であり、日本に比べると流動性の高い労働市場があるからこその動きとも指摘される。ただ、ディズニー全体に占める率は小さくても「7000人の人員削減」と聞けば、その絶対数は小さくないので驚いた日本人も少なくないだろう。
ディズニーが今回、人員削減に踏み切るのは動画配信サービスの「Disney+」(ディズニープラス)などをテコ入れする改革の一環だ。四半期の決算報告でDisney+は加入者の減少を示していた。人員削減だけではなく、マーケティング費用や調達費用の削減も行う。
そのような経費を削減しながら動画配信サービスの成長と利益の上昇につなげる目的だ。四半期決算自体は収益が235億ドル(約3兆0900億円)となり前年同四半期比で8%伸びた。テーマパークが順調だったことや映画『アバター2』の好業績に支えられた。
しかしDisney+は加入者が3カ月前の1億6420万人から、1億6180万人に減少した。ストリーミング戦国時代において、日本の人口を軽く上回るほどの有料会員を集めている、この実績は立派だが、2019年のサービス開始以来、初の減少となった。ストリーミングは赤字となっており、2024年での黒字転換を狙う。
さらに企業の事業セグメントも映画、テレビ、エンターテインメントの3つに再編成する。これもコストを考えてのようだ。
ディズニー全体と各セグメントの状況
四半期決算の状況を確認する。全体は次のとおりだ。
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