三菱化学の鹿島事業所は復旧に2カ月以上必要、川下産業へ悪影響も【震災関連速報】
三菱ケミカルホールディングスの中核企業、三菱化学は23日、東日本大震災の直後から操業を停止している鹿島事業所(茨城県神栖市東和田、同砂山の2カ所)の復旧に、最短でも2カ月以上を要する見込みになったと発表した。震災の影響で港湾設備など周辺インフラが大きく損傷し入出荷が困難な状態にあり、修復には相当な時間を要する見通しだ。
国内最大級の石油化学プラントを擁する鹿島事業所は、鹿島灘に面し、鹿島港を中心に広がる鹿島臨海工業地帯に位置する。石油化学製品の基礎原料となるエチレン換算の生産能力は約80万トンと日本全体の1割強を占める。
地震直後にはプラントが自動停止。保安上のトラブルはなく、火災も発生しなかった。だが、地震や津波の影響によってバースと呼ぶ港内で入出荷にかかわる設備や、事業所周辺の道路が損傷。陸上・海上のいずれも入出荷が困難となっている。また、バース以外のインフラ関連設備・機器の一部にも著しい損傷がみられるという。
鹿島事業所は、化学企業が集積する鹿島コンビナートの中核。ナフサ(粗製ガソリン)を原料に石油化学製品の基礎原料となるエチレンやプロピレン、B−B留分などを生産している。これらの基礎原料が、コンビナート内の化成品メーカーに渡り、合成樹脂や合成ゴム、合成繊維原料、界面活性剤などの石油化学誘導品となる。
鹿島コンビナートには、旭硝子、JSR、信越化学工業、カネカ、花王、クラレ、三井化学など20数社の誘導品メーカーが連なっている。大本となる三菱化学の鹿島事業所が石化原料を供給できない状態が2カ月以上も続けば、これらのメーカーの生産活動にも支障が生じる可能性が高い。
誘導品メーカーはプラスチック加工や繊維、ゴム、塗料などさらに川下のメーカーに化学品を供給。それらが最終的に自動車や家電製品、日用品、衣料などとして消費者に渡るため、大本である石化プラントの長期停止は、サプライチェーンの寸断や見直しなど幅広い産業に悪影響が及ぶ懸念もある。
三菱ケミカル自身も鹿島事業所の操業停止は、業績面にネガティブな影響を与える可能性が高い。ただ、その詳細などについての算定は現段階では難しい。
(武政 秀明 =東洋経済オンライン)
(写真は被災前の鹿島事業所)
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