今は「働く人々でさえ飢えている」英国のリアル 「生活費危機」の恐るべき貧困化インパクト
レゾリューション財団は最近の報告書で、政府がこうした施策の中で低所得世帯を優先したのは理にかなっていると述べた。ただ、この報告書のためにユーガブが行った調査によると、過去1カ月間に空腹でありながら、お金が足りなかったために食事を抜いたと回答した人の割合は11%に上り、パンデミック前の5%から大きく上昇している。
政府は、パンデミックのピーク時に子どもの貧困が減少したと説明しているが、専門家によると、これはパンデミック関連の政府給付によるものとみられる。だが、その政府給付はすでに終了してしまった。
昼食時の学校に広がる悲しい光景
ロンドンの最も貧しい地域で10校を運営する学校グループのCEO、クリスタラ・ジャミルは、生活費危機の影響を毎日のように目の当たりにしていると話す。昼食として1袋のビスケットしか持ってこられなくなった子どももいるという(親たちは、そのビスケットを学校のフードバンクから手に入れている)。補助教員の間でさえ、フードバンクの利用が始まっているそうだ。
学校給食の慈善団体、シェフズ・イン・スクールズは、子どもがクラスメートから食べ物を盗んで家に持ち帰ったり、昼食に何も持ってこられなかった子どもが運動場に隠れたりしていることがあるといった報告を教師から受けている。
イングランドでは3分の1以上の子どもが無償で学校給食を受けていると政府は言う。イングランドでは学校教育の最初の3年間は全生徒が無償給食の対象となる。しかし低所得世帯の、それより上の学年の子どもについては、親の所得が支援対象となる上限(大抵は年間7400ポンド=約120万円)を上回り、支援からはじかれているケースが多いと慈善団体は主張する。
子どもによっては、学校給食が1日の中で唯一頼ることのできる、栄養のある食事になっているのが最近の状況だと、教師や慈善団体は話している。
(執筆:Emma Bubola記者)
(C)2023 The New York Times
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら