日経平均が3万円を回復するための「3つの条件」 今後の相場を動かす「6つの要因」を検証する
現在のフォワードガイダンスは、新型コロナ蔓延の初期段階にあたる2020年4月のパニック時に緊急対応的に導入されたものであり、金融政策の基本的方針が新型コロナ感染状況に紐づいており、端的に言えば「新型コロナで経済が減速するならば、金融緩和を続ける」という内容である。感染症法上の分類が見直された後は、新型コロナを理由に緩和継続方針を掲げておくことは正当化されなくなると考えるのが自然だろう。
日銀が金融政策の変更、たとえば10年金利操作の終了を決めれば、外国為替市場では日米金利差縮小の思惑が生じ、円高が進む可能性がある。仮に円高が進んだ場合、それは製造業の収益を圧迫する可能性が高い。日経平均株価採用銘柄、TOPIX(東証株価指数)時価総額のそれぞれ約6割を製造業が占めることを踏まえると、株価下落を招く展開には注意が必要だろう。
インフレ高止まりなら、大きな株価下押し圧力に
2つ目はエネルギー高によるインフレ再燃だ。原油価格の指標であるWTI先物原油価格はロシアによるウクライナ侵攻を受けて2022年6月に一時、1バレル=120ドルをつけた。だがその後は、欧米経済の急減速を受けて、直近2カ月ほどは80ドルを下回る水準で推移し、世界全体のインフレ率に下押し圧力をかけてきた。
金融市場参加者が注視しているアメリカのインフレ率は「エネルギー」が明確に伸び率を縮め、FRB(連邦準備制度理事会)の利上げ幅縮小に貢献してきた。しかしながら、今年もこうした原油「安」が続くかは微妙だ。それは取りも直さず、中国経済が回復を強めると予想されるからにほかならない。
中国経済の回復それ自体は世界経済の成長率を押し上げる要因になるが、その副産物として資源価格の上昇を招く可能性は大いにある。その場合、注意が必要なのはFRBの金融政策が再びタカ派に傾斜することである。
現在、市場参加者の中心的な予想に基づけばFRBは2月に0.25%の利上げを実施した後、3月に追加で0.25%の利上げをし、FF(フェデラルファンド)金利が5%(誘導目標レンジ上限値)に達したところで利上げを終了、その水準でしばらく様子見を続けた後、年後半に複数回の利下げ(幅は0.25%)を予想している。
しかしながら資源価格が再上昇し、インフレ率が高止まりすれば、利下げ観測は消失し、政策金利が高止まりするとの予想が支配的になる。そうなれば長期金利には上昇圧力が加わり、株価の下押し圧力は増大する。中国経済の回復に伴うインフレ懸念には注意したい。
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