「新NISA」って何?今さら聞けない基本の基本 最小100円から、1800万円無税、旧NISAと併用可

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例えば、取得価格800万円の株が値上がりして1000万円になった場合、残りの生涯投資額は1800万円から1000万円を差し引いた800万円、と考えるのではない。1800万円から取得価格800万円を差し引いた1000万円とする。生涯投資額を計算する際、保有する株や投信の値上がり益は、いっさい考慮しなくてもいい。

また一般NISAやつみたてNISAでは、投資した株や投信の一部を売った分を“再投資”できなかったが、新NISAでは再投資できるのが利点だ。例えば、1800万円の生涯投資額のうち500万円を投資した後、値上がりしたので全額売却しても、生涯投資額は再び1800万円に戻る。

月10万円、年120万円まで投資が可能に

さらには年間投資額が増えた利点も大きい。

新NISAの生涯投資額は1800万円だが、一括で枠を使い切れるわけではない。前述したとおり、年間投資額は成長投資枠240万円とつみたて投資枠120万円を合わせて、計360万円。つみたて投資枠の年120万円のみを考えれば、毎月最大10万円まで積み立てられる計算になる。

現行のつみたてNISAの年間投資額は40万円なので、1カ月当たりの積み立て額が最大3万3333円と、割り切れない点が不評だった。この点、新NISAのつみたて投資枠は、毎月10万円だからピッタリ割り切れる。

現状、つみたてNISAの対象ファンドは、「長期・積み立て・分散」投資の基準に適した投信から、金融庁が選んでいる。1月17日時点では218本に及ぶが、新NISAのつみたて投資枠で選ばれる商品は、現行のつみたてNISAとほぼ同じものと考えられよう。早晩、「指定インデックス投信以外の投信」つまりアクティブ運用の投信では、選定基準の緩和が行われる可能性が高い。

同じ1月17日時点におけるつみたてNISAの対象ファンドは、日経平均株価など指数に連動した「インデックス運用投信」が187本だが、指数を上回るリターンを目指す「アクティブ運用投信」はわずか24本しかない。

これは選定基準のうち、純資産総額が50億円以上であること、信託設定以降に5年間以上経過していること、信託の計算期間のうち資金流入超の期間が3分の2以上であること、という点をクリアできるアクティブ運用投信が、そもそも少ないため。多くの投信会社が、つみたてNISAの対象ファンドとして、インデックス運用投信を起用している。

ただ、そのインデックス運用投信では現在、信託報酬率の引き下げ競争が激化した結果、最も報酬率の低い投信に資金が集中する傾向がある。「コストは低いほどよい」という意見もあるが、運用維持に支障を来すようなダンピング合戦は本末転倒だろう。

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