会社員の妻、パートでも「厚生年金」に入る方が得 支払った保険料以上に年金が死ぬまでもらえる
このうち改正で最も影響を受けるのは、会社員の社会保険の扶養内で働く人がいる世帯だ。
配偶者(夫)が会社員で、パート・アルバイトとして働いている人(妻)という典型的なパターンでは、「年収106万円」を意識し、勤務時間を調整する人も多いのではないか。
年収が106万円以上になると扶養から外れ、社会保険被保険者本人となり、厚生年金や健康保険に加入することになる。保険料を支払った結果、最終的な手取りは減ってしまう。
年収の手取りを比較した一覧を示した。年収106万円の場合、厚生年金の保険料は月8052円・年間9万6624円だ(勤務先と折半後の自己負担)。年収130万円の場合、年金の保険料は月1万0065円・年間12万0780円になる。
もちろん負担は厚生年金の保険料だけではない。年収が上がれば、健康保険や雇用保険など他の社会保険料、さらに税金も増える。概算だが、年収106万〜130万円の人であれば、社会保険料の負担は年間約15万〜19万円程度で、税負担はおおむね年5000〜1万5000円弱と考えておきたい。
公的年金は終身もらえて、長生きするほどメリット
ただし、目先の手取り収入が減るとはいえ、社会保険に加入するメリットは大きい。厚生年金は納めた金額や期間によって、将来受け取る年金の額が増えてくるからだ。年収106万円(月収8万8000円)の人が厚生年金に1年間加入すると、65歳以降に受け取ることのできる年金が年間5400円アップする。
しかも増えた公的年金は終身受け取れる。税負担などを考慮せず単純計算すると、例えば受給後に18年間生きたとして、受け取る厚生年金は年5400円×18年間=9万7200円。一方、厚生年金の保険料は年約9万6000円なので、支払った保険料より多くの年金を受け取ることになる。
2021年時点で日本人の平均寿命は男性が81.47歳、女性が87.57歳。65歳から受け取りを開始すると、男性は平均16年間、女性は平均22年間、年金を受け取る計算になる。少なくともより長生きする女性は厚生年金に加入するメリットがあるといえるだろう。
年金は長生きすることに備える保険だが、その理念に沿った設計になっていることがわかる。そのうえ厚生年金に加入すれば受けられる年金の範囲も広がる。