三菱ガス化学のスマートフォン向け基幹部材は震災前の25%程度の生産規模に【震災関連速報】
三菱ガス化学は22日、4月上旬に一部再開する電子材料「BTレジン」の生産規模が、復旧当初は東日本大震災前の25%程度にとどまるとの見通しを発表した。当面は、BTレジンの需要がとくに強いスマートフォン(高機能携帯電話)やタブレットPCなどのモバイル機器向け半導体パッケージ基板用製品に生産を集中する。
BTレジンは子会社のエレクトロテクノ(福島県西郷村米字椙山)が生産している。エレクトロテクノは震災の影響で設備の一部などが被害を受け、震災直後から操業を停止しているが、4月上旬に第一段階の復旧として部分的ながら生産が再開できる見通しとなった。ただ、ピークに戻るまでにはさらに時間を要するとみられる。三菱ガス化学は、第二段階以降の復旧については3月末までをメドに公表する予定だ。
BTレジンは、ガラスクロス(布基材)にBT樹脂と呼ぶ三菱ガス化学の独自樹脂を含浸させ、両面に銅板を積層した部材。銅張積層板の一種で、日立化成工業や住友ベークライト、パナソニック電工などが競合だ。三菱ガス化学グループは、この分野で世界シェア約6割を押さえるトップメーカー。
BTレジンはBT樹脂の特性から耐熱性が高く、電気特性に優れる。搭載機器を薄くするのにも適しており、スマートフォンやタブレットPC向けに高いシェアを持っていると推定される。その生産が1カ月近く止まるうえ、再開後も当初は生産量が大きく落ちる事態は、川下のスマートフォンやタブレットPCメーカーの懸念材料となりそうだ。
BTレジンの生産能力の低下が長期化すれば、最悪はスマートフォンやタブレットPCの生産が止まる事態にもなりかねないだけに、早期の復旧が望まれる。
(武政 秀明 =東洋経済オンライン)
(注)写真はイメージです
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