事故防げる?JR東「障害物検知システム」の将来性 線路上の人や車をカメラが検知して注意喚起
209系を改良した試験車両「MUE-Train」や京浜東北・根岸線のE233系車両に搭載され、2020年2月から京浜東北・根岸線の本線上で走行試験が行われてきた。京浜東北・根岸線で試験を行うのは理由があり、「トンネル、橋梁、踏切の数など、いろいろな条件から走行試験にふさわしい路線を選んだ」(JR東日本の担当者)という。
この日公開された試験は、E233系列車に搭載された障害物検知システムを使って線路内上の被写体を障害物として検知し、被写体に接近した際、注意喚起の表示をするというものだ。まず、車両は止まったままの状態で、係員が車両から約80m前方の線路上に立ち、約30mまで移動する。これをシステムが検知するという試験が行われた。
運転席は狭いため、代わりに車内に設置されたモニターから試験の様子を確認する。モニターには運転台から見た前方の景色が映し出された。景色は白黒だが、係員の姿がボーっと光った。車両に近づくにつれ、光の色が緑から、黄、オレンジ、赤へと変化する。また、障害物との距離に応じて「Detected(障害物あり)」や「Caution(注意)」といったメッセージが表示された。検知が成功したのだ。
走行試験で線路上のマネキンを検知
続いて、係員の代わりに、長さ1m、高さ50cm程度で、子供が乗って遊ぶ自動車のおもちゃが線路上に置かれた。実際の車と比べればはるかに小さい。それでもこの車が障害物であることが検知された。実際の車を線路上に置くほうがリアルな気もするが、「車を線路上に持ち込むのが大変」とのこと。理論的にも、小さいおもちゃの車を検知できれば当然大きな本物の車の検知は容易なはずであり、問題はないだろう。
ここまでは車両が止まったままの状態で試験が行われたが、いよいよ車両を走らせた状態での試験が始まった。生身の人間が線路上に立つのは危険なので、白いシャツと黒いズボンを着せたマネキンが線路上に立たされた。
列車は前方のマネキンに向かってゆっくりと進む。モニターに映し出されたマネキンに列車が近づくにつれ、その表示色が黄から赤へと変化した。試験は成功した。今回のマネキンのシャツの色は白だったが、いろいろな色のシャツを着せた検知状況も調べているという。
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