チャットGPTは、人工知能(AI)の野心的な研究所「オープンAI」によってリリースされた。この技術の構築には多くの企業や研究所、研究者が協力しており、そこにはグーグルも含まれる。
それでも専門家たちは、こうしたチャットボットを開発する小規模な新興企業との競争にグーグルは苦戦するおそれがあると考えている。このテクノロジーが、さまざまな意味でグーグルのビジネスに打撃を与える可能性があるからだ。
既存の広告ビジネスが足かせに
グーグルはすでに、チャットGPTに対抗しうるチャットボットを作り上げている。実際、オープンAIのチャットボットの中核技術は、グーグルの研究者たちが開発したものだ。
グーグルのチャットボット「LaMDA(ラムダ)」は2022年夏、グーグルのエンジニア、ブレイク・ルモワンが「意識を獲得した」と主張し、大きな注目を浴びた。これは事実ではなかったが、このテクノロジーはここ何カ月かでチャットボット技術がどれほど進歩したかを示すこととなった。
とはいえ、グーグルはこの新たな技術をオンライン検索に代わるものとして展開するのに乗り気ではない可能性がある。同社の昨年の売上高の8割以上を占めるデジタル広告の配信には向かない技術だからだ。
「無敵の企業など存在しない。すべての企業が脆弱だ」。シリコンバレーの歴史を専門に研究するワシントン大学のマーガレット・オマラ教授は、「1つの市場を定義するような並外れた成功を収めた企業が、何かまったく別のもので第2幕を上げるのは難しい」と指摘する。
新たなチャットボットは、インターネットに投稿された膨大な量のデータを分析してスキルを学習するため、うそと真実をごっちゃにする傾向がある。こうしたチャットボットは女性や有色人種に対する偏見を含んだ情報を提供したり、ヘイトスピーチなどの有害な言葉を生成したりする場合があるということだ。