バイデン大統領が「岸田首相に異例の厚遇」の背景 「米政府は岸田首相をハト派だと思っていたが」
以下、番組での主なやりとり。
梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):にこやかな日米両首脳の表情が非常に印象的だった。日米首脳会談後に発表された共同声明では「防衛力の抜本的な強化」「外交的取り組み強化」での日本の果敢なリーダーシップを称賛。また、両首脳は「日本の反撃能力の開発や効果的な運用について協力を強化するよう閣僚に指示した」という。
松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):バイデン大統領は岸田首相を「真のリーダーであり真の友人だ」とまで褒め上げた。岸田首相の肩に手を置いてホワイトハウスのローズガーデンの横を歩くなど、かなり親密な関係をアピールした。米国の厚遇ぶりの背景には何があるのか。
岸田首相はここまでやるのかと歓迎をしている
佐藤正久氏(自民党前外交部会長、元外務副大臣):バイデン大統領が岸田首相の肩に手を乗せ並んで歩いたのは、中国を相当意識して演出しているのだと思う。日本の安保3文書、それにともなう能力の抜本的強化、防衛費増額は、日米同盟が新たなステージに入ったことを裏付けるものだと米国は見ている。
私はそう思っていないが、米国は岸田首相をハト派だと思っていた。ハト派だと思っていた岸田首相が、北方領土問題を抱えるロシアのウクライナ侵略に対して、米国と同じくらいの厳しい制裁を課し、欧州へエネルギーを融通した。(岸田首相は)ここまでやるのかと。普通なら10年くらいかかる安保3文書の取りまとめをこの1年でやり、反撃能力まで含めて日本の役割を増した。米国にとっては、核ミサイルを持った強権国家のロシア、北朝鮮、中国に3正面で対するときに、日本が役割を増やしてくれることは地域の安定にとり極めてありがたいことだ。(米国は)岸田首相はここまでやるのかと非常に歓迎をしている。
小川淳也氏(立憲民主党前政調会長):当面、良好な関係を演出して日米関係の安定、ひいては世界の安定を表現したことは結構なことだが、ここで顔に出す必要まではないにしても、どこまで米国と心中するような国になっていくのかということでは、冷静な思い、気持ちを持っていてほしい。日本は太平洋国家であると同時にアジア国家でもある。貿易や国の近さを考えても、米中対立をそのまま日中の対立に持ち込んでいいはずがない。頭半分ではきちんと日本の国益を考え、米国とどこまで心中する気でそれを演出するのかということについては冷静な目を持っていてほしいと願っている。