「ゲーム理論」小学生でもわかる学問の深い本質 世の中に、より良いシステムを作る一助になる

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おおた:その「ゲーム」というのは、いわゆる遊びのゲームとは違うんですよね? どういう意味なんでしょうか?

鎌田:それを説明するには、ゲーム理論誕生の話をするといいかもしれません。

経済学者の鎌田雄一郎氏
経済学者の鎌田雄一郎氏(Photo: Jim Block)

まず、1940年代に、現代のコンピューターの基礎をつくり、さらに第2次世界大戦で原子爆弾開発の中心的な役割を果たしたフォン・ノイマンという数学者と、オスカー・モルゲンシュテルンという経済学者の2人が基礎をつくりました。複数の人がいてそれぞれが相手の出方を考えながら意思決定する状況を「ゲーム」として定式化したのです。

その後、『ビューティフル・マインド』という映画のモデルになった数学者のジョン・ナッシュが、1950年に「ゲーム」における「均衡」を定義する革新的な論文を発表しました。この「均衡」というのが、ゲーム理論の最重要概念です。

均衡を数式で表す意味

おおた:均衡……、というのはどういうことでしょう?

鎌田:何かをおおたさんがおっしゃって、それに対して僕がいちばん良い(とるべき)と考える反応をしていると、またそれに対して、おおたさんはご自分の考えるいちばん良い反応をしている。このような状況を均衡と呼びます。

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そういう均衡を数式で表すことで人々の行動をとらえ、そのうえで、「こういう状況であればこんなメリットがありそうだ」「こちらの状況ではいい関係を築けそうにない」といった予測を立てて、それが現実の社会システムと合っているかどうか、どう変えたらいいかを考えていきます。

一方で、こういう分析というのは、「面白い算数の問題をつくって解く」という感じもあるんですよね。「ゲーム」で状況を記述して、このゲームの均衡は何でしょう、つまり、このゲームでは何が起きるでしょう? という問題を自分でつくって、解く。それが、ゲーム理論家にとっては、たまらなく面白いんです。

おおた:鎌田さんは大学時代にゲーム理論に出合ったと聞いています。やはり算数好きだったからこそ惹かれる部分が大きかったのでしょうか。

鎌田:はい。というかそもそも僕はそれまで、社会問題を数式で記述できるという分野の存在を知らなかったので、そんなことができるゲーム理論というものがあるのかと驚きがあり、そこから惹かれていきました。

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