「ゲーム理論」小学生でもわかる学問の深い本質 世の中に、より良いシステムを作る一助になる
おおた:ゲーム理論は人間の行動を理解する学問と言えるのかなと思いましたが、人間の行動を理解する学問としては、心理学や社会学、人類学など他のアプローチもあると思います。多様な方法がある中で、とりわけゲーム理論が優れている点というのは、どういうところでしょうか。
鎌田:すべての学問に良い点があると思いますが、ゲーム理論が他と違う点は、「数式を使って表せること」ですね。人間の行動や考え方について仮定をおいた後は、答えは1つ。そういう意味で、議論の問題点をわかりやすくすることができる。文章で長々と言わなくても、パッと数式で書けます。
ゲーム理論の考え方は、どんな子に向いている?
おおた:なるほど。そうすると、どういう子に、ゲーム理論的な思考法がマッチするのでしょうか?
鎌田:日本の大学生向け授業のシラバスには、「理屈っぽい人、募集」と書きますね。細かいところにこだわる人は向いていると思います。
あと、どのアプローチがしっくりくるかは、分析する側の人にだけでなく、分析される状況によるところもあります。たとえば恋愛は、なかなかゲーム理論には向かないと思うんですね。できないことはないでしょうが、精度の高い予測はできないでしょう。
おおた:ゲーム理論の得意分野は、どんな領域なのでしょうか?
鎌田:いちばんいいのは、ルールがかっちり決まっているものだと思います。たとえばオークションなどは向いています。
ルールが決まっていない状況では、そこに関わる人たちがどのような現実の選択肢を持っているかから、考えて設定しなくてはならないので、設定する段階からうまくいかないこともありますからね。
おおた:なるほど。ただ、あるルールのもとで、自分にとって可能な限り最大の利益を得たい場面でゲーム理論が使われていると考えると、なんとなく人のウラをかこうとするときに使うのではないかという疑念もわきます。
日常の人間関係のなかでゲーム理論を利用するなんて人が悪いのではという意見にはどう答えられますか?
鎌田:そうですね、もちろんジャンケンのような勝ち負けのある場面では、相手のウラをかくためというところもありますが、公共の場面で考えると、自分の利益のためだけに使うというよりは、自分・相手、さらにはそこに関わるみんなにとって良い状況を考えるときに使うものだと思いますし、その部分は、実際の僕たちがやっている研修医制度や保育園の待機児童問題の解決策などから感じていただけるのではないかと思っています。
(1月20日配信の後編に続く)
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