「ゲーム理論」小学生でもわかる学問の深い本質 世の中に、より良いシステムを作る一助になる

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ゲーム理論
小学生の学びの選択肢として「ゲーム理論」を考えてみます(写真:designer491/PIXTA)
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学校・習い事・受験勉強……子どもたちを取り巻く学びの環境には選択肢が無数にあり、多様な情報が次々と入ってくる時代、親はその中から子どもに少しでも多くの経験をさせ、視野を広げられたらと考えるものでしょう。
昨年、第44回サントリー学芸賞(政治・経済部門)を受賞した鎌田雄一郎さん(カリフォルニア大学バークレー校准教授)は、受賞作の『雷神と心が読めるヘンなタネ』で、専門のゲーム理論について小学生がその考え方を理解し、日常生活で実践できるように書いています。
近著に『勇者たちの中学受験』などがある、教育ジャーナリストのおおたとしまささんとともに、小学生の学びの選択肢のひとつとしてゲーム理論がどのような意味を持つのか、どんなところに面白さがあるのかを考えていきます。

ゲーム理論は、「相手の立場に立って考える」学問

おおたとしまさ(以下、おおた):鎌田さんは『雷神と心が読めるヘンなタネ』という著書で、小学生向けにゲーム理論について書かれています。この本の帯には「相手の立場に立って考える力が身につく」とありますね。

相手の立場に立って考えるというのは、「自分が相手の立場だったらどうするか」という意味と「自分ではない人間がその立場にいることをどう思っていると思うか」という意味の2つをまずは思い浮かべますが、どちらでしょう?

『雷神と心が読めるヘンなタネ』の舞台、登場人物
『雷神と心が読めるヘンなタネ』の舞台、登場人物

鎌田 雄一郎(以下、鎌田):それでいうと「自分ではない人間がその立場にいることをどう思っていると思うか」ですね。「自分ではない」人たちがどう行動するかを考える学問です。

おおた:ゲーム理論は社会において、どういうことができる学問だと言えるのでしょうか。

鎌田:そうですね、大ざっぱな言い方をしてみると、複数の人間の行動をとらえて、世の中にとってより良いシステムをつくれる学問だと思います。僕のチームでは、たとえば研修医制度や保育園の待機児童などが抱える問題点について具体的な提案をしてきました。

「ゲーム」として人間の行動を記述することで、人間が実際にやっている行動がどういうことなのかが浮かび上がってくるんですね。

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