「ゲーム理論」小学生でもわかる学問の深い本質 世の中に、より良いシステムを作る一助になる
ゲーム理論は、「相手の立場に立って考える」学問
おおたとしまさ(以下、おおた):鎌田さんは『雷神と心が読めるヘンなタネ』という著書で、小学生向けにゲーム理論について書かれています。この本の帯には「相手の立場に立って考える力が身につく」とありますね。
相手の立場に立って考えるというのは、「自分が相手の立場だったらどうするか」という意味と「自分ではない人間がその立場にいることをどう思っていると思うか」という意味の2つをまずは思い浮かべますが、どちらでしょう?
鎌田 雄一郎(以下、鎌田):それでいうと「自分ではない人間がその立場にいることをどう思っていると思うか」ですね。「自分ではない」人たちがどう行動するかを考える学問です。
おおた:ゲーム理論は社会において、どういうことができる学問だと言えるのでしょうか。
鎌田:そうですね、大ざっぱな言い方をしてみると、複数の人間の行動をとらえて、世の中にとってより良いシステムをつくれる学問だと思います。僕のチームでは、たとえば研修医制度や保育園の待機児童などが抱える問題点について具体的な提案をしてきました。
「ゲーム」として人間の行動を記述することで、人間が実際にやっている行動がどういうことなのかが浮かび上がってくるんですね。