セイコーエプソンは秋田工場を再開、他拠点も復旧急ぐが、原発避難地域内の福島工場は閉鎖の長期化必至【震災関連速報】
セイコーエプソンは東日本巨大地震の影響で操業を停止していた4拠点のうち、秋田エプソン(秋田県湯沢市岩崎字壇ノ上)の操業を再開した。
秋田エプソンでは、プリンター部品や水晶振動子を生産。もともと建物の被害はほとんどなかった。電力供給など生産体制が整ったことで、19日に操業を一部再開。電力状況を見ながら、今後フル生産に移行する。
停止中の他工場も再開を模索中だ。エプソンアトミックス(青森県八戸市大字河原木字海岸)は、津波などにより発電設備などが被害を受けて操業が止まった。現時点では再開の時期は未定。ただ、建物などの損壊はない。人工水晶の合成炉も損傷がない。人工水晶は海外などでの代替生産も可能のようだ。
セイコーエプソン酒田事業所と東北エプソン(ともに山形県酒田市十里塚字村東山)も同様に復旧に向けての準備中だ。酒田事業所はセイコーエプソンの半導体の主力拠点。ただ、同社は長野にも工場を持つため、こちらでの代替生産も可能だ。東北エプソンはプリンター部品を扱う。どちらも建物の被害が軽微であり、電力状況や設備の安全性が確認でき次第、操業を再開する見通し。
一方、エプソントヨコム福島事業所(福島県南相馬市小高区飯崎南原)については、復旧のメドが立っていない。建物や一部設備に損壊などの被害が発生している模様。さらに東京電力・福島第1原子力発電所から直線で16キロメートルの距離にあり、避難エリアに該当する。そのため、事業所の一時閉鎖が長引きそうだ。
ただ、福島では携帯電話基地局向けなどの水晶デバイスを生産しているが、少量品ということもあり、操業停止が長引いても業績への打撃となる可能性は低いだろう。また、セイコーエプソンはタイやマレーシアなどにも水晶デバイスの量産工場を持つ。同社は「絶対に福島でしか生産できない、というものはない。代替も考えたい」(広報)としている。
(梅咲 恵司 =東洋経済オンライン)
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